「スタンド・バイ・グリーン」海江田哲朗

【この人を見よ!】vol.30 19歳、躍動す ~MF35 藤本寛也~(18.9.19)

23試合3得点。今季、ユースから昇格し、プロ1年目の藤本寛也が快調なすべり出しを見せている。このままいけば、2014年の安西幸輝(41試合2得点/鹿島アントラーズ)に匹敵するほどの数字を残しそうである。
売りは、左足のキックだ。視野が広く、見ているポイントも的確。ゴールの感覚に磨きをかけ、スケールの大きなアタッカーへと成長しようとしている。

■まるでフェルナンド・レドンドのよう

ひとりだけ、ボールの勢いが違った。左足を小気味よく振り、速いパスをビシビシ通す。当時、東京ヴェルディジュニアの藤本寛也を見て、小笠原資暁(日テレ・ベレーザ コーチ)は唸らされた。

「小学生レベルのパススピードではなかったですね。あれは意識してやっていたことではなく、生まれ持ったものだと思います。プレーしている姿が、まるでレドンドのようだった」

フェルナンド・レドンド。レアル・マドリードなどで活躍し、90年代に名を馳せたアルゼンチン人のミッドフィルダーである。けがの多い選手で、トップパフォーマンスを維持した期間は短かったが、それゆえに鮮烈な印象をファンに残している。

その後、小笠原は藤本をつかまえ、訊いている。

「レドンドって選手、知ってるか?」

「知らない」

藤本はそっけなく答えた。無理もない。レドンドは2004年に現役を退き、そのエレガントなプレーを全開にしていた時期はまだ生まれてもいなかった。

しばらくして藤本は「レドンド、見ました」と小笠原に知らせている。インターネット普及以前は往年の名選手を見るのにひと苦労だったが、動画サイトで手軽に見られるいい時代だ。

のちにジュニアユース、ユースで指導者と選手の間柄になるふたりの出会いだった。

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