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宇都宮徹壱ウェブマガジン

「バルサスタイル」と決別した理由 羽中田昌(東京23FC監督)インタビュー<1/2>

 羽中田昌という指導者は、さまざまな「アイコン」で彩られている。一般的には「車椅子の指導者」として知られているが、私と同世代のオールドファンには、韮崎高校時代の高校選手権での活躍は忘れられない思い出だろう。また海外サッカー好きであれば、スカパー!の解説者としてもお馴染みであり、なおかつ「バルサスタイルの信奉者」としてもつとに有名である。

 私にとっての羽中田さんとのファーストコンタクトは、2008年の地域決勝である。この年、羽中田さんは当時四国リーグ所属のカマタマーレ讃岐を率いていたのだが、あの讃岐がFCバルセロナのようなポゼッションサッカーをしている光景を目の当たりにして、度肝を抜かれたものだ。私は05年から地域決勝を取材していて、これまでさまざまな感動的なシーンに立ち会ってきたが、あれほど驚いた試合は他になかったように思う。

 その後、羽中田さんは奈良クラブ(12年)の監督を経て、15年からは関東リーグ1部の東京23FCを率いている。監督就任2年目の今季は、同クラブを初優勝に導き、地域決勝改め地域CL出場権を獲得。羽中田さんにとり、指揮官としてこの大会に挑むのは讃岐を率いた08年以来、実に8年ぶりである。

 羽中田さんへのインタビューは、関東リーグが中断期間に入っていた8月下旬に行われた。羽中田さんの半生については、ご自身の著書でもたびたび触れられているので、多くのサッカーファンの間でも共有されていることだろう。よって今回のインタビューは、この人の指導者時代、とりわけ3つの地域リーグクラブを率いてきた経験にフォーカスすることにした。

  おりしも今月11日から、地域CLの1次ラウンドが開催される。東京23FCは山梨の富士北麓公園陸上競技場で、J.FC. MIYAZAKI(九州)、アルテリーヴォ和歌山(関西)、そして鈴鹿アンリミテッドFC(東海/全社枠)と対戦。おそらくここが「死のグループ」であろうが、健闘を心から祈ることにしたい。と同時に、本稿が「日本で最も過酷な大会」を盛り上げる一助となれば幸いである。(取材日:2016年8月26日@東京)

■東京のクラブゆえの悩みは「グラウンドの確保」

――今日はよろしくお願いします。今日の練習を見学させていただいて、まずびっくりしたのが朝の7時から30人以上の選手とスタッフが参加していたことです。いつもこんな感じなんですか?

羽中田 今、選手は31人で今日は全員ですね。怪我でトレーニングに参加できていないのはいますけど。

――最近、地域リーグのクラブでもトレーニングを夜から朝に切り替えるクラブが増えているみたいですね。

羽中田 というか、この時間にしか集まれないんですよ。みんな仕事を持っていますから、練習が終わればそのまま仕事場に行くという感じですかね。ウチは3年前から朝に切り替えたんです。それまでは仕事が終わってからの練習だったんですけど、どうしても疲れているのでトレーニングに集中しきれていないということで、今のGM(原野大輝)が朝に変えたそうです。あと、グラウンドの確保という意味でも、朝のほうが取りやすいみたいです。

――なるほど。ところで羽中田さんは毎朝、何時に起きています?

羽中田 4時ですね。寝られるときは夜10時くらいに休みます。

――でもスカパー!の解説は夜中ですよね。その時は?

羽中田 その時は解説をしてからそのまま練習に来るので、24時間寝ないような感じでやっています。

――大変ですねえ!

羽中田 いえいえ、楽しいですから(笑)。むしろ選手たちの方が大変ですよ。

――先ほど「グラウンドの確保」というお話がありましたが、東京のクラブだとやっぱり制約がいろいろありますか?

羽中田 あるみたいですね。詳しいことはGMに聞いてもらった方がいいと思うんですけど、だいたい2カ月ぐらい前に(グラウンドを)予約するんです。でも夏休みは学生優先みたいで、けっこう使えない日もあるんですよ。そうすると、別の場所を探さないといけない。いつもよりも遠くに行かなければいけないとか、駐車場が有料になってしまうとか。そうなると選手は大変ですよね。

――羽中田さんは、カマタマーレ讃岐や奈良クラブでも指導されていました、東京での一番の問題点はやはり練習場の確保ですか?

羽中田 そうですね。土のグラウンドでの練習も何回もあります。あとはフットサル場とか、野球場のグラウンドとか。もちろん場所に応じて練習メニューは変えていくし、そうした中で新たな発見をすることもあるんですが、大変は大変です。

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