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宇都宮徹壱ウェブマガジン

【1万字対談】相撲とうどんとカマタマーレ愛を語り尽くす! サッカー本大賞記念 能町みね子✕宇都宮徹壱<1/2>

 かねてより予告していたとおり、このほど能町みね子のときめきサッカーうどんサポーター、略して 能サポ』(以下、『能サポ』)でサッカー本大賞2017を受賞された、能町みね子さんをお招きして、宇都宮との対談をお届けする。いつもはインタビュアーに徹している私だが、いちおう「もうひとりの受賞者」という立場なので、司会は前々回の受賞者である中村慎太郎さんにお願いした。

 能町さんといえば、漫画家、コラムニスト、さらにはラジオのパーソナリティーとしてもご活躍であり、最近は「相撲評論家」としてTVでも引っ張りだこの人である。NHK総合の夕方のニュース番組でも『能町みね子のシブ5時相撲部』というコーナーを持ち、独自の視点によるマニアックな相撲ネタを素人にもわかりやすく解説されている。私は自他共に認める相撲音痴だが、いつかお目にかかりたいものだと思っていたら、このたびのサッカー本大賞授賞式でご挨拶する機会があり、それがきっかけで今回の対談が実現することとなった。

 さて、受賞作の『能サポ』である。サッカーにまったく関心がなかった能町さんが、ひょんなことからカマタマーレ讃岐(当時はJFL)と出会い、ホームタウンである香川のうどんとセットでハマっていく過程が描かれている。方向性としては、中村さんの受賞作『サポーターをめぐる冒険 Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった』に近いが、本作はかなりゆるくて、笑いのツボが独特で、しかもうどんが食べたくなるという、何とも不思議な読後感がある(未読の人はお勧めだ)。

 サッカーと相撲、それぞれに門外漢である能町さんと私だが、カマタマーレとアンダーカテゴリーに奇跡の共通項があったために、実に絶妙なバランスで今回の対談は成立している。文字通り「異種格闘技戦」のような、この顔合わせ。果たしてどんな話が飛び出すのか、最後までお楽しみいただければ幸いである。(取材日:2017年5月8日@東京。協力:BOOK LAB TOKYO

<目次>

*「サッカー本大賞の存在をまったく知らなかったんですよ」

*なぜカマタマーレ讃岐で、どうしてJFLだったのか?

*カマタマーレと相撲巡業、それぞれのスポーツツーリズム

*デビュー作は『オカマだけどOLやってます。』

*男女で違う「素人が相撲を楽しむためのコツ」とは?

*大相撲のサービスからJリーグが参考にすべき点とは?

撮影:佐藤功

■「サッカー本大賞の存在をまったく知らなかったんですよ」

――司会を担当する中村です。今日はよろしくお願いします。実は僕にとって、能町さんは大学の先輩、宇都宮さんは書き手としての大先輩ということで、ちょっと緊張しています(笑)。あらためまして、サッカー本大賞おめでとうございます。

能町 ありがとうございます。宇都宮さんの『サッカーおくのほそ道』、読ませていただきましたけど、すごく面白かったですね。こういう言い方はおこがましいんですけど、意外と私の本で書いたことと被る部分がけっこうあって、同じところに着地している感じが興味深かったですね。

宇都宮 被っているといえば、『能サポ』でSAGAWA SHIGA FCのホームスタジアムを訪問した章があって、スタンドの向こう側にラブホテル群が見えるというくだりがイラストと共に言及されていましたよね。私の本でも、まさにあの会場の写真があるという(笑)。自分が取材した現場に、能町さんも足を運んでいたというのが純粋に嬉しかったです。

――特定のカテゴリーにこだわらないというのは、おふたりの共通点かもしれませんね。さっそくですが、今回のサッカー本大賞を受賞されたことで、能町さんの周りではどんなリアクションがあったのでしょうか?

能町 この本がエントリーされた時点で、担当編集者は「これは行けるんじゃないか」と思ったらしいですけど、私はサッカー本大賞の存在をまったく知らなかったんですよ。ただし、こういうふざけた文体の本が受賞できるとは正直思えなかったので、かなりびっくりしましたね。

宇都宮 授賞式のスピーチでも、そのように話していらっしゃいましたよね。そのあと、カンゼンさんのオフィスでの2次会にも参加していただきました。あの場にいたサッカー業界の面々をご覧になって、いかがでしたか? けっこう怪しい人もいましたが(笑)。

能町 ロック総統ですね? 最初は何の人か、よくわかりませんでしたけど(笑)。アットホームで手弁当な雰囲気が居心地よかったですね。

――ちなみに相撲ライターの世界ってあるんですか?

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