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宇都宮徹壱ウェブマガジン

なぜ『喫茶山雅』は39年ぶりに復活したのか? 小澤修一(株式会社松本山雅営業)インタビュー<1/2>

 先月、スポナビで掲載された「Jリーグ25周年」シリーズのコラム、「2015年 喫茶店から生まれたJ1クラブ」が、Yahoo!トピックスにも掲載されて大きな反響を得ることとなった。この時の取材に対応してくださった、株式会社松本山雅営業の小澤修一さんのインタビューを今週はお届けすることにしたい。

 小澤さんは2005年から10年まで山雅のMFとしてプレー。その後、現役を引退してからは、育成コーチと広報を経て15年より現職となっている。翌16年、クラブのルーツとなった喫茶山雅(1965~78年)を39年ぶりに復活させるプロジェクトを提案。努力の甲斐あって、今年2月25日に無事にオープンを迎えることとなった。

 小澤さんへの取材は当初、コラム執筆のために行われたものであった。だが、非常に興味深く示唆に富んだものであったため、クラブ側とスポナビの了承を得て、単独のインタビュー記事として掲載することとなった。クラブが飲食店を立ち上げた経緯、そしてクラブの歴史を後世に伝えることの意義など、他のクラブのサポーターにとっても刺激的な内容となっていると自負する。(取材日:2017年7月11日@松本市)

<目次>

*松本駅から徒歩15分の場所に出店した理由

*松本の第一印象は「とんでもないところに来ちゃったな」

*引退を決意した理由と営業になって良かったこと

*発想のきっかけは「山雅らしい新しいこと」

*改装費用が「びっくりするくらい」安く済んだ理由

*「クラブの歴史を大切にしてくれる」喫茶店として

■松本駅から徒歩15分の場所に出店した理由

――今日はよろしくお願いします。さっそくですが、この喫茶山雅。オリジナルが松本駅前の喫茶店だったのに対して、今回は駅から徒歩15分ほどの距離にあります。飲食店を始める場合、立地って最重要課題だと思うのですが、なぜ駅前でなくここだったのか? まずはそのあたりから伺いたいと思います。

小澤 売り上げということでいうと、松本であれば例えば駅前とか、あるいは大きな駐車場のある郊外型のほうが、間違いなくお客さんが来ると思うんです。でも喫茶山雅のコンセプトを最初に考えたとき、単純にお金儲けだけが目的なら、お店を復活させる意味は半減してしまうと思ったんですよね。やっぱり山雅サポの皆さんや、アウエーで松本に来てくれた皆さん、さらには地域にお住まいの皆さんにも喜んでもらえるようなお店にしていかないといけない、というのが前提としてありました。

――なるほど。考えてみれば駅から松本城に向かう途中に、このお店があるわけですよね。サッカーに関係ない人でも、ここに立ち寄る可能性があると。

小澤 そうです。もともとこの辺りって、観光スポットに向かう途中にあるわけですが、街並みもすごく雰囲気があるし、松本らしさが感じられる地域なんですよね。ですから観光客だけでなく、松本在住の方々にも、こういう場所があるということをもっと知っていただきたいというのがあります。

――たとえばアウエーのサポーターの場合、駅を降りたらすぐにシャトルバスに乗ってアルウィンに向かうわけじゃないですか。試合が夜だったら、その前に観光するかもしれないけど、なかなかこっちまで足を伸ばすことはないですよね。

小澤 せっかく外からお客さんに来ていただいても、スタジアムを行き来するだけだと、利益を得るのは山雅だけになってしまいますよね。それだとあまり意味がない。もともとこのクラブが目指してきたのは、地域を元気にすることですから。松本山雅がやる喫茶店ということであれば、そこは絶対に外せないと思っていました。

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