宇都宮徹壱ウェブマガジン

『ロシアワールドカップへの行き方』を書き終えて 村上アシシ(プロサポーター)インタビュー<1/2>

 2018FIFAワールドカップ開催まで、あと1週間。ということで今週は、このほど『ロシアワールドカップへの行き方』(以下、ロシア本)を上梓した、プロサポーターの村上アシシさんにご登場いただく。アシシさんについては、今さら多くを語る必要はないだろう。本業であるコンサルタントの仕事を半年だけ稼働させて、残りの半年を日本代表とコンサドーレ札幌の応援活動につぎ込み、さらには「サポーターをサポートする」プロサポーターとしてのビジネスモデルも構築したことでも知られている。

 今回、アシシさんが上梓したロシア本は、今大会を現地観戦する人に特化した、電子書籍によるガイドブックである。目次からいくつか引用すると、「FAN IDをゲットせよ」「観戦チケットの手配方法」「ロシアのモバイル環境」「各都市の地図情報」「キリル文字の読み方」などなど、さまざまな使える情報が過不足なく網羅されている。1000円というお手頃価格なので、現地に行く人はKindleもしくはスマートフォンでダウンロードしておくことをお勧めする。

 今回のインタビューでは、このロシア本制作の裏話だけでなく、「われわれは今大会の日本代表とどう向き合うべきか」というテーマについても意見交換をしている。ヴァイッド・ハリルホジッチ前監督の電撃解任以降、アシシさんはモチベーションの低下による脱力感に苛まれ、話を聞いた時点でも「サポーター人生の岐路に立っています」というくらい追い詰められていた。 先のガーナ戦(5月30日@横浜)でも観戦を見送るなど、今でも自身の中での葛藤が続いているようだ。

「より多くの人たちにロシアに行ってもらって、代表を応援してほしい」という思いのもと、猛烈な勢いで書き上げられた今回のロシア本。プロサポーターとしての大きな仕事を終え、ロシア行きが近づく中、果たして村上アシシは何を想うのか? 今回のインタビューでは、いつもの「炎上芸人」とは少し趣が異なる、彼の別の一面を浮き彫りにしてみることにしたい。さっそく、ご本人に登場してもらおう。(取材日:2018年5月9日@東京)

<目次>

*「実質3カ月で約6万字を書ききりました」

*日本戦がある3都市のそれぞれの印象

*「レジストレーション」は形骸化している?

*「アシシは嫌いだけど、あの質問は良かった」

*ロシアでは「あまり応援では頑張らないつもり」

*「コンサドーレへの熱は逆に上がっている」

「実質3カ月で約6万字を書ききりました」

──今日はよろしくお願いします。最近、やたら忙しそうですが。

村上 やっと解放されましたよ。4月が新人研修の講師の仕事があって、普段のコンサルの稼働があって、そこにハリルホジッチ解任が来て、もう地獄でしたね。その合間を縫ってのロシア本の執筆で、本当は4月中に出したかったんですけれども。「半年だけ働く」なんて嘘ですね(苦笑)。働き方はブラック企業ならぬ、ブラック個人事業主として、1日16時間稼働とか平気でしていました。

──ハリルホジッチの解任騒動がなければ、もう少し楽な気持ちで執筆に集中できたと。そのあたりの話はおいおい聞くとして、著書のタイトルにもなった『半分だけ働く。』は、どれだけ自分の中で実践できています?

村上  本業のコンサルを半年だけ、というのは実践できています。ただし残りの半年、やりたいことをあまりにも詰め込みすぎて、いっぱいいっぱいになってきているので、エンジンのふかし方をちょっと緩めたいなっていうのが、最近思っていることですね。ロシア本も無事に出版できたので、ワールドカップは何も気負わずに楽しみたいです(笑)。

──ワールドカップ参戦はいつからいつまで?

村上 6月17日から7月17まで、丸々1カ月です。なぜ1カ月も休めるかというと、僕はコンサルの契約を3カ月間60%稼働でやっているんです。同じように60%稼働している人間がもうひとりいて、僕がいない時はその人が仕事をするような契約にしています。なので、僕がワールドカップで1カ月いない間は、その人にコンサルの仕事を丸投げする予定です(笑)。そのやり方で、もう2年半やっていますね。

──よくまあ、そういう人を見つけましたね(笑)。とはいえ、コンサルの仕事をしながら執筆の時間を確保するのって、それなりに大変だったと思うんですが。

村上 そうですね。仕事が終わったら飲みに行かずに(夕方の)6時から深夜まで執筆していましたし、週末にコンサドーレ(札幌)の応援に行くときも移動の時間とかを使ってずっと執筆していましたね。結構プライベートを犠牲にしながら、執筆の時間を確保するようにしていました。

(残り 3906文字/全文: 5802文字)

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