宇都宮徹壱ウェブマガジン

全社枠をめぐる三者三様の戦い WMフォトギャラリー<全社1〜2日目>

 今週はかねてから予告したとおり、10月20日から24日まで茨城県で開催された第54回全国社会人サッカー選手権(以下、全社)の模様をフォトギャラリー形式でお届けする。今大会は全国の地域予選を勝ち抜いた31チームに、開催県枠のジョイフル本田つくばFCが参加。5日間連続の過酷なトーナメントを制したのは、松江シティFCであった。なお私は、1日目から4日目までを取材している。

 さて今大会の全社では、地域CL出場権に関して大きなレギュレーション変更があった。「ベスト4以上の成績」という条件は前回までと同じだが、これに加えて《各地域リーグ最上位リーグの成績が2位、3位のチームで、且つJFLへ入会を希望するチームに限るものとする。》(大会実施要項より)となった。この変更により、現在東北リーグ2部南で圧倒的な強さを誇っているいわきFCは、飛び級でJFLに参戦することができなくなってしまったのである。

 これにより今大会の全社は、地域CL出場権を得ている「権利持ち」、そして地域リーグ2位と3位で上を目指す「全社懸け」に加えて、上記した条件を満たさない「権利なし」の間で争われることとなった。全社枠をめぐる三者三様の戦い。もっとも、上を目指さない(あるいは目指せない)「権利なし」のチームにだって、この大会に懸ける強い思いはある。このレギュレーション変更が、どのような影響を及ぼすのかについても着目しながら、さっそく今大会について振り返ることにしたい。

 1回戦の現場は、ひたちなか市総合運動公園スポーツ広場。初めて訪れる会場だが、何だか「ホーム」に戻ってきた気分になる。スタンドがないピッチが2面、そして隣接する陸上競技場で同時に試合が行われる。主審のホイッスルが混じってしまうのはつらいところだが、隣のピッチの戦況を場内アナウンスで知ることができるのはありがたい。

 こちらが今大会のパンフレット。カシマスタジアムとひたちなか海浜鉄道をフィーチャーした、何とも味わい深いデザインとなっている。それにしても、例年になく「サッカーサッカーしてない」のはなぜだろう。Twitterにアップしたら「鉄ちゃん(鉄道ファン)がデザインしたに違いない」という書き込みがあって思わず納得した。

 1回戦の第1試合は、沖縄SV対東京国際大学FCを取材。沖縄といえば、元日本代表の高原直泰のクラブである。高原はクラブ代表であり、監督であり、キャプテンマークを付けて試合にも出場する。クラブ名の由来は、ハンブルガーSV、クラブカラーはボカ・ジュニアーズに由来。いずれも高原がかつて所属したクラブである。

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