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なぜ34歳の女性会計士はJリーグ理事就任を決断したのか? 米田惠美(公益社団法人日本プロサッカーリーグ理事)<2/2>

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Jリーグ理事を引き受けた理由

──米田さんが理事に就任された時のJリーグの課題として、ひとつの組織としてのビジョンが共有されていない、ということがあったそうですが、原因はどのあたりにあったとお考えでしょうか?

米田 Jリーグがスタートした当初は、川淵三郎さんという理念を体現する方が中心にいて、理念と反することが出てくると「それは違う」とはっきり指摘できたと思うんです。でも、そういうことを言い続けることができる人が、だんだんいなくなってしまったのかもしれませんね。その一方で、「われわれはフットボール団体だ」とか「エンターテインメント団体だ」とか、どうしてもポジショントークになってしまう傾向を感じます。

 私はJリーグというものは「トリプルミッション」の組織だと考えています。社会課題の解決と事業を両立させるのがNPOであるならば、そこに競技性が加わっているのがJリーグ。つまり「社会性」「事業性」「競技性」の三位一体ですね。いくら競技のレベルがすごくても、お客さんが入らなければ事業性はない。事業と競技だけが成り立っていても、社会性を意識しなければ、たぶん理念とはかけ離れてしまいます。

──社会性、事業性、そして競技性。確かに、いずれも欠けてしまっては、Jリーグは成り立たなくなってしまいますね。

米田 私は「Jリーグの経営の特徴は何ですか」と問われると、ステークホルダーが非常に多くて多岐にわたること、そしてトリプルミッションだと答えるようにしています。どちらも難易度は高いんですが、経営の応用問題としての面白さは絶対あります。

──もうひとつ、Jリーグの経営の難易度を高めているものとして、急激な時代の変化があると思います。もちろんこれは、一般企業も同様だと思うんですが、トリプルミッションのそれぞれの分野での変化に対して、Jリーグは柔軟に対応していかなければならない。その点については、村井さんも「うかうかしているとJリーグはどんどん取り残されていくのではないか」という危機感をお持ちのようですが。

米田 本当にその通りだと思っています。Jリーグにはたくさんのプロフェッショナルな人材がいますけれど、全員が常にアップデートし続けていけるかというと、決してそうではない環境なんですね。必要な要素はあるけれども、IT業界でもないし、アパレル業界でもない。専業の企業と比べれば、どうしても進化のスピードが緩くなってしまう部分が出てきてしまう。ですので、個々のアップデートを促す仕組み作りというものが、われわれにとっての経営課題という認識はしていますね。

──アップデートの必要性は感じながらも、実行するのが厳しくなっている年代の方って、けっこういらっしゃるように思うんですよ。かくいう私もそうなんですが(苦笑)、その点についてはいかがでしょうか?

米田 そうですね。ですので「変える」という言葉をなるべく使わないようにしたいなと思っています。これまでJリーグで頑張ってこられた方々に対しては、リスペクトすることを大前提としながらも「私はこっちの方向に行きたいんですけど、手伝ってくれませんか?」と言い続けるようにしています。要するに「今まで培ってこられたことを、もう少し世の中のために活用しませんか?」ということですね。もちろん、受けとる方はそんな風に受け取ってないでしょうから、常にすんなり受け入れられるわけではないですけど(笑)。

──そうした活動を続ける中で、今年はとうとう常勤の理事に選出されます。このオファーをもらった時に、やはり相当、迷われたと思うのですが。

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