「残留請負人」前讃岐監督・北野誠が語るJ2監督論。魔境を生き抜く極意とは?(J論)

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「視聴者が解説者を選べる時代」だからこそ 戸田和幸(サッカー指導者・解説者)<3/4>

皆さん初めまして。赤いモヒカンで覚えている方もいるかもしれません、2002年のサッカーワールドカップ日本代表・戸田和幸です。

 昨年4月から11月にかけてスポーツナビに連載された、戸田和幸さんの連載「指導者として」。その第1回は、このような書き出しから始まる。いささかの自虐を含んでいるものの、2002年の日韓大会で強烈なインパクトを残したヘアスタイルは、その後もしばらくは彼のイメージを決定づけることとなった。その影響は、2013年に引退して新たなキャリアを築こうとした時に、思わぬ形で露わになる。

 今、最も旬な解説者である戸田さんのインタビューを、先週に続いてお送りしている。後編は、彼が現役時代から情熱を傾けている「サッカーの言語化」にフォーカスする。その前に確認しておきたいのが、18シーズンにわたる現役時代から変わらない、彼の基本姿勢。年齢やキャリアに関係なく、はっきり物申すことを厭わなかったために、戸田さんは「扱いにくい選手」というレッテルを貼られてきたという。そのイメージは「赤いモヒカン」の残像とあいまって、その後のキャリアにも微妙な影響を及ぼすこととなった。

 現役引退後、戸田さんは指導者ではなく、解説者としてセカンドキャリアの第一歩を刻むこととなる。そこからの5年間、ひたすら「サッカーの言語化」にこだわってきた努力が、現在の評価につながったのは間違いない。一方で昨年は慶應義塾大学ソッカー部での指導を1年続け、そこでの経験もまた解説者のキャリアに厚みを与えることとなった。解説と指導での「サッカーの言語化」の共通性についても、戸田さんは興味深いコメントを残してくれている。

 そして本稿の落としどころは、戸田さんの「裏解説」が従来のサッカー解説にもたらす変化である。果たしてご本人の中には、どのような「あるべき姿」が描かれているのだろうか。前編に続いて、最後まで「前のめり」でお付き合いいただきたい。(取材日:2019年2月21日@東京)

<目次>

*「扱いづらい選手」というイメージが定着して

*ピッチ上のコミュニケーションに試行錯誤した日々

*今季、セレッソ大阪のチーム作りに注目する理由

*「裏解説」につながる慶應ソッカー部での指導方法

*解説者のギャラにも明確な違いがあっていい?

*代表を応援することが「裏解説」の目的ではない

■「扱いづらい選手」というイメージが定着して

──ここからは戸田さんにとっての解説という仕事、そして「サッカーを言語化する」ことの難しさとやり甲斐について、いろいろお話を伺いたいと思います。その前に、戸田さんの現役時代の晩年についてお聞きしたいんですけど、うかつにも最後にプレーしたのがシンガポールだったのは知りませでした。FC町田ゼルビアから2013年にウォリアーズFCに移籍して、その年いっぱいで引退されているんですね。 

戸田 そうです。本当は僕、地元の町田で辞めるつもりでした。そうしたらシンガポールからお話をいただいて、自分でもいろいろ調べてみたんですけど条件としては悪くない。金額的にもJ2クラブと比べて良かったくらいです。しかもシンガポールだったら、家族と一緒に暮らせると思ったんです。実はザスパ草津時代(10~11年)に東日本大震災があって、家族は妻の実家がある福岡に暮らしていたんです。

──それは知りませんでした。シンガポールでのシーズンはいかがでしたか?

戸田 レベル的には決して高くはなかったですね。ただ、僕自身も年齢から来る怪我が多くて、満足にプレーすることができませんでした。もともと草津にいたときに両膝を手術して、回復までに1年半。そのあと肉離れもあってなかなかコンディションが上がらない中、久々の海外でしたから。現役時代はずっとストイックにサッカーに打ち込んできましたけれど、最後のシーズンは家族と一緒に過ごすことができたのはよかったと思っています。

──かくして、18シーズンにわたる激動の現役生活を終えたわけですが、もともと戸田さんは引退後、解説者ではなく指導者になろうと考えていたわけですね?

戸田 そうですね。30(歳)になる前から、それは考えていました。

──ところが引退後、すぐにそういったお話はなかった?

戸田 なかったですね。何もなかったです。指導者だけでなく、メディアからの話もゼロでした。よっぽど尖ったイメージがあったんでしょうね(苦笑)。

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