宇都宮徹壱ウェブマガジン

果たしてキング・カズは鈴鹿に移籍するのか? 選手が「ランドスケープ」になることへの疑義

 今季のJFLを4位で終えた、鈴鹿ポイントゲッターズの周辺が、このところ慌ただしい。

「カズ獲得に鈴鹿が意欲」と中日新聞が第一報を報じたのが12月5日(参照)。元役員のスキャンダラスなツイートに関して、クラブ側がリリースを出したのが12日(参照)。こうした一連の「ざわつき」感は、果たしてどのような決着を見ることになるのだろうか?

 鈴鹿というクラブについては、アンリミテッド時代から取材しており、吉田雅一社長には今年の7月にインタビューしたばかり(参照)。クラブの状況については、それなりに把握しているつもりである。また元役員についても、いくつか表に出ていない情報を得ている。けれども今回は、カズは本当に鈴鹿(あるいはJFLクラブ)に移籍するのか、というテーマについて考察することにしたい。

 まず「なぜ鈴鹿だったのか」について。少なくとも、例の告発ツイートが世を騒がせなければ、カズの鈴鹿入りのストーリーはかなり実現性のある話だったと思っている。監督兼GMが兄の三浦泰年氏であることに加え、その長男の俊太郎氏(カズの甥)も鈴鹿で3年プレーしたのち、このクラブでスパイクを脱いでいる。ついでにいえば、2015年から16年にかけて監督を務めた小澤宏一氏は、20代の頃にブラジルにわたって三浦兄弟と一緒にトレーニングで汗を流した間柄だそうだ。

 このように鈴鹿というクラブは、何かと三浦ファミリーに縁がある。これに加えて吉田社長は、クラブの話題性作りに関してはかなり積極的なアイデアマンだ。インパクトあるクラブ名の変更も(FC鈴鹿ランポーレ→鈴鹿アンリミテッドFC鈴鹿ポイントゲッターズ)、背中や胸のスポンサーに『お嬢様聖水』を引っ張ってきたのも、スペインから女性指導者を招聘したのも、いずれも吉田社長のアイデア。この人が「カズさんがJFLに来てくれたら」とイメージして、実現にアクションを起こしたとしても何ら不思議はない。

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