日々雑感―高木俊幸―焦燥の時を越えて

内面にあるもの

彼はマイペースだ。普段の行動からも、日々の言動からも、それは分かる。でも、本人が自覚しているかは分からない。

「変わり者とは言われます。自分では普通だと思っていることも、周りからは『変わっている』と言われる。なんででしょうね」

表面上は不機嫌そうな表情をしているので言葉を掛けるのをためらうが、話し始めると饒舌になる。こちらが『不機嫌じゃなかったの?』と聞くと、「むしろ機嫌は良い方ですよ」と返されるので、彼の心情を探るのは難しい。

先輩に取り入るのが得意な関根貴大と一緒に居ることが多い。高木の方が歳上なのに、コアラのような顔の後輩に顎で使われている。それを指摘すると、本人は真顔で「ふたりとも顎が出ているんですけどね」と呟く。やはり彼の心の内は読めない。

だから分からなかった。彼がこれほどまでに気を張り、忸怩たる思いを抱いていたことを。

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