松沢呉一のビバノン・ライフ

台北生活の経費-萬華再訪 2-(松沢呉一)-2,331文字-

萬華という街-萬華再訪 1」の続きです。

 

 

萬華にこだわる事情

 

vivanon_sentence私が萬華に執着するのは、ただ居心地がいいだけではなくて、都市の再開発がこの居心地のいい街をどう変質させるのかを見届けたいという思いがあるためです。

それを今回も見てきたのですが、これについては昨年12月、台北のセックスワーカー支援団体COSWAS主催で行われたワークショップのテーマと密接に関係するので、その日本語版報告書をSWASHが公表してからまとめようと思います。

この萬華のことをもっと知りたい。もっと深く入り込みたい。この街の人々が、再開発とどう抗するのか、あるいは屈服するのか。私がそのことに寄与できることはないでしょうし、よそもんが関わるべきかどうかもわからないのですが、その様子をせめて見守りたい。

そのためには数日の滞在では時間が全然足りない。少なくとも1ヶ月はいたい。その下見が今回の滞在でした。「だいたいわかったので、住むぞ」というのが結論。

「『闇の女たち』が売れたら」と思っていたのですが、売れなくても住むことにしました。そんなに金の余裕はないので、どのくらい経費がかかるかも今回ざっくり見積もってきました。

※写真は萬華にある古寺・龍山寺にて

 

 

萬華での生活費

 

vivanon_sentence飛行機は深夜便を使えばバカ安。今回は空港使用税を含めて往復23,000円。新幹線で名古屋を往復するのと同じくらい。

台湾はそんなに物価が安いわけではなく、工業製品については、せいぜい2割安ってところでしょうが、メシはもっと安くてうまいので、食生活はなんの問題もない。日本にいる時よりずっと安く、ずっといい食生活ができます。

前回はたぶん牡蠣で下痢したので、食いたかったけど、今回はやめておきました。安く住むためのシミュレーションとして、高いものは避けて、安いものばっか食ってました。

地元の人たちが行く安い屋台でだいたい間に合います。さっぱりしたものが食べたい時でも、屋台で刺し身を食えます。テイクアウトの寿司屋もあります。

上の写真は萬華ではなく、隣町だったと思います。日本の回転寿司より少し安いくらい。しかし、そんな贅沢は今回してません。

愛想のいいパン屋さんがありまして、朝のパンはここで買ってましたが、あとは全部やっすい屋台や店ばかりで食ってました。

 

 

屋台の買い食い禁止

 

vivanon_sentenceどこでもそうであるように、観光客向けは高い。同じ屋台でも、夜市は半分観光客向けですから、夜市の屋台でいろんなもんをつまんだりすると、けっこうかかったりしますけど、そういうことをしなければ一食三百円台から四百円台で済みます。

そうは言っても、夜市に行くと、つい買い食いをします。

艋舺夜市の入口で、バッタリ知り合いに会いました。昨年、台北に行った時にいたCOSWASの関連団体のメンバーです。台湾にいる知り合いの数なんて知れているのに、こんなところで偶然会うとは、「台北は駒込の霜降り商店街くらいの規模か」と思いました。

言葉がほとんど通じないながら、彼は夜市をおすすめの屋台を案内してくれまして、ひとつは上の写真。魚の練り物にゆで卵を入れて揚げたもので、これにワサビや辛いマヨネーズみたいなものを塗って食べます。これはまあまあいけますす。

もうひとつ、彼が推薦してくれたのは、鶏の足をまんま煮込んだもので、これはよくわからんかった。ほとんど食べるところがない。食べるというより、しゃぶりながらスープを飲むものみたい。

夜市では、それより私は豚骨とか鶏の唐揚げとか、日本で食べられるようなものばっかり食ってました。でも、こういうもんがまたうまいのさ。

前回、果物は夜市で買ってはいけないことを学習しましたが、他のものも普通の市場で買った方が安いので、住む場合は夜市の買い食い禁止にしようと思います。

 

 

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