松沢呉一のビバノン・ライフ

葉永鋕の死が変えた社会—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 5-(松沢呉一) -2,647文字-

くっきりと見える世代の差—アジア初の同性婚実現間近の台湾へ 4」の続きです。

 

 

 

「皮縄愉虐邦」参上

 

vivanon_sentence待ち合わせの午後一時になって、SMサークル「皮縄愉虐邦」と合流。COMMANDER DなどでSMをたしなむゲイたちとのつながりがあるだけではなくて、ここの女子たちはたいていバイらしい。

彼らは「皮縄愉虐邦」のバナーまで掲げて同性婚支持のイベントに参加。所属する団体を表示している人たちが少ない中、珍しくこれは団体名ですけど、この場合はありかと思います。台湾でも知られていないマイノリティ集団ですから。皮縄愉虐BDSMになっていて、それぞれ縄や鞭、手枷で文字ができていて、台湾の人でもなんの団体かわからんですし。

皆で会場まで移動。会場は、総統府前の広場で、駅から五分ほどのところ。ステージの前の方はすでに人がいっぱい。ステージから二百メートルほど(もうちょっとあったかな)離れたところに門があり、その周辺だとまだ余裕があります。そこにシートを広げて陣取りました。ステージはあんまり見えないですが、この正面に大きなモニターがあるので、十分楽しめそうです。

すぐにそこを離れて、福田君と私は周辺を見て回りました。広場と言っても、ふだんは道路になっていて、こういうイベントがあると、周辺の道路を封鎖します。

その道路の脇に殺風景な建物があり、「これが総統府かよ。しょぼいな」と福田君と話していたのですが、全然違ってました。

総統府の建物はステージのさらに先でした。初日に平野さんとメシを食ったあと、一人で高速散歩をしている時に、この横を通ってました。ライトアップされた煉瓦作りのえれえ立派な建物があって、「なんだろな」と思いつつ、写真だけ撮って素通りしたのですが、あれがそうだったのか。日本が統治していた時代の建物です。

この総統府をレインボーにライトアップしたこともあったらしい。政府自身が以前から積極的にこの問題に取り組んできたってことが台湾の特性。

 

 

葉永鋕の死

 

vivanon_sentenceやがてモニターから映像が流れ始めました。2011年に行われた第一回「高雄同志大遊行」のステージを撮ったものです。

オリジナルの動画が見つからず、以下はニュース映像です。中国語がわからなくても、何があったのか、それが社会にどういう影響を与えたのかまでだいたいわかるので、ぜひ観てください。

 

※テロップに出ている年号は民国紀元で、西暦ではありません。

 

 

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