松沢呉一のビバノン・ライフ

三桁にして初めての体験—ヤリマンからの電話[1]-[ビバノン循環湯 341] (松沢呉一) -5,723文字-

ここに出て来る彼女はどうなったのかについては追記で書いてますが、連絡がとれなくなってから、数年経って初めてメルマガで発表した原稿です。

彼女が面白いことを言うたびにメモをしていたのですが、他にもいっぱい下半身活動について聞いていて、そのメモをまとめたのがこの原稿です。よって、二回の電話の内容ということになっていても、実際にはこの流れで出てきたわけではない内容も組み込まれています。

これを読むと、キャバ嬢みたいなタイプをイメージしたり、ケバいギャルをイメージする人が相当数いると思いますが、全然違います。クレマン(クレバー・ヤリマン)はそう簡単に見抜かれないタイプが多いものです。まっ、人にもよるんですけど、彼女はどっちかと言えば見た目は「地味」「真面目」に属するタイプです。実際、家族にせよ、彼氏にせよ、友だちにせよ、職場の上司・同僚にせよ、これを読んで彼女だと気付ける人は皆無だと断言できます。ふだんも面白いキャラではありますが、こういう面についてはまったく出していないはず。

私を含めて下半身活動を知っている人たちもいたわけですが、シングルプレイヤーですから、そのことを知っている人たち同士は横につながっておらず、全貌を知っている人は本人以外一人としていないかもしれない。「こいつにはなんでも話して大丈夫だし、ヤリマンであることをバカにせず、それどころか面白がってくれたり、感心してくれたりする」と思ったようで(呆れることもありますけど)、下半身のことは隠すことなく教えてくれていたし、相談事もよく深夜の電話でしてきたのですが、それが全貌かどうかまでは私もわかりません。名前はたぶん本名を教えてくれていたはずですが、一生の秘密です。

 

 

 

パンツ一枚と全裸の電話

 

vivanon_sentenceものすごいヤリマン娘と知り合った。彼女、ムチャクチャおかしい。やっていることもおかしいし、話もおかしい。

知り合って以来、彼女は時々電話してきては笑わせてくれる。

ある日、こんな電話をしてきた。

「松沢さん、今、どんな格好しているの?」

「全裸だよ」

「アハハハ、なんで?」

「なんでってことはないんだけど、このくらいの季節になると、いつの間にか素っ裸になっていることが多いな」

六月である。真夏になると汗でべたつくので、上は長袖、下は長いスウェットになったりもするが、このくらいの時期だと全裸になりやすい。

「それがどうかしたか」

「私もパンツ一枚だよ。ラッキーでしょ」

「まあまあだな」

「私がパンツ一枚だと知ったら驚くかと思って電話したんだけど、そっちが全裸じゃ話にならないね。電話する相手を間違ったよ」

「チンコ丸出しのオレが、“えっ、パンツ一枚かよッ!”って驚いてもな」

「パンツ一枚の私が、“えっ、チンコ丸出しかよッ!”って驚かされるとは想像していなかったよ。そんなことはどうでもよくて、私の悩みを聞いてよ。この間、セックスしたんだよ」

「いつものことじゃないか。セックスのたびに電話していたら、毎日、オレに電話しなきゃいけないだろ」

「そうなんだけど、初めて体験するセックスだったんだよ。これだけセックスしてきた私が初めての体験だったってすごいことだと思わない?」

「すごいな。三桁とセックスしてきたヤリマンにとって初めてのセックスってどんなんだって気になるよ」

三桁というのは本当の数字。本人もどれだけの男としてきたか覚えていない。スキあらばセックスをするし、次の日もスキあらばセックスするので、いちいち覚えてられない。一定の基準はあるのだが、その基準をクリアしている場合、誘われたら断らない方針だ。

コンスタントに週一でやっていれば二年で三桁になり、彼女は二十代半ばなので、十代から月に一人か二人とヤッているだけでも三桁にはなるわけだが、それだけの期間、新規の男とセックスを続けられるのは才能としか言いようがない。

「ヤリマンという言い方が納得いかないけど、興味をもってくれて嬉しいよ」

こんだけセックスしていても、ヤリマン本人はヤリマンという呼び名を好まないものである。なんとかしてヤリマンをポジティブな言葉にしたいと努力してきたが、私の力ではまだイメージの転換までは至らない。

Erastus Dow Palmer「Indian Girl, or The Dawn of Christianity」 またの名を「パンツ一枚で携帯をいじる女」

 

 

二度とセックスしたくない男

 

vivanon_sentence

「で、どんなセックスだったんだよ」

「まあまあ、落ち着いて。前からちょっといい男だなと思っているのがいて、ちょっといい男だと、すぐにセックスしたくなるじゃん。どんなセックスするのかなって気になって」

「君の場合はしないではいられないわな」

「うん。いい男を見ると、すぐにセックスするところを想像して、三分後には濡れているからね。その段階でもう前戯が終わっているから、すぐに挿入できるよ、自慢じゃないけど」

 

 

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