自衛隊員同士が勤務中にセックスしていた事例—懲戒の基準[4]-(松沢呉一)
「法に則らない民間の懲罰の方が怖い—懲戒の基準[3]」の続きです。
勤務中にセックスをしていたことに対する懲戒処分
ここ 一年くらいになると思いますが、公務員やら会社員やらが不祥事を起こして処分された時に、その行為の内容と処分を照らし合わせて、納得したり、納得しなかったりする癖がついています。
たとえばこれは数日前の報道。
2019年2月4日付47NEWSより
大変いいところを突いてきました。懲戒マニアの私にとって見所はいくつかあって、2名の時期がだぶっているってところがひとつ。1曹と2曹は互いのことを知っていたのか知らなかったかも発表して欲しいところです。
また、情報提供をした隊員はどうしてこのことがわかったのかも気になります。声が聞こえたのか、このうちの誰かがつい漏らしたのか。情報の漏洩は自衛隊では禁物ですから、それで処分されたのかもしれません(笑)。
私企業の場合は規定自体がアバウトで、運用はさらにアバウトなことがあって、小さい会社だと社長の胸先三寸で処分なしになったり、解雇だったりしますが、公務員は服務規程が公開され、処分の公開が義務づけられているので、いい加減なことはできません。
外部から見ると、「軽すぎないか」ということも多々あるのですが、よくよく検討すると妥当だったりします。それでも「これはどうなんか」ということがあります。公開されている情報が少ないので判断しにくいのですけど、そういう例もおいおいこのシリーズで見ていきます。
公務員は規定が細かいのではありますが、それでも「公務中に性行為を禁じる」なんてことまでは書かれてませんから、もっとざっくりした品位だの信用だのといった表現でアバウトに決められている規定に違反するのだろうとのメドはつきます。
それを確認してみましょう。
※下総航空基地のサイトより
自衛隊法に照らす
国家公務員の場合は、規律やその違反は国家公務員法と国家公務員倫理規程で決められているのですが、省庁によって別の法規が定められています。その業務に合わせてアレンジしていたり、細部を決め込んでいたりしますが、だいたい同じようなものです。
自衛隊員の場合は自衛隊法と自衛隊員倫理規程がそれに該当します。チェックはしましたが、自衛隊員倫理規程は飛ばすとして、自衛隊法でひっかかりそうなのは以下です。
(職務遂行の義務)
第五十六条 隊員は、法令に従い、誠実にその職務を遂行するものとし、職務上の危険若しくは責任を回避し、又は上官の許可を受けないで職務を離れてはならない。
(品位を保つ義務)
第五十八条 隊員は、常に品位を重んじ、いやしくも隊員としての信用を傷つけ、又は自衛隊の威信を損するような行為をしてはならない。
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