松沢呉一のビバノン・ライフ

仕事になったらセックスも辛い—女の客も相手にするノンケの売り専ボーイたちに聞く[下]-[ビバノン循環湯 527](松沢呉一)

男の客の方が楽だと口を揃える—女の客も相手にするノンケの売り専ボーイたちに聞く[中]」の続きです。

写真は前回と同様、このサイトから借りました。すべて着色しています。

ホモという言葉については「「ホモ」を差別用語にするな—心の内務省を抑えろ[6]」参照。

 

 

 

性風俗産業を支えるもの

 

vivanon_sentence性風俗産業が成立するのは、時間や手間を節約し、トラブルを回避するために金を出す人たちがいるためでもある。

一般の男女関係では、知り合ってセックスに至るまでに面倒な手続きがある。何度かのデートを経て、愛の告白をしたり、プレゼントをしたり、手を握ったりキスをしたりして、しかるべきのちにセックス。その手続きを経ると、今度は一度きりで終わることが難しくなる。セックスが合わなくて一回で別れようもんなら、「一回しただけで捨てられた」「体を弄ばれた」と言い出すのがいて、また時間や手間がかかり、場合によっては金を払うことになる。

そんなことをしている暇がないくらいに仕事が多忙な人や、トラブルがあると仕事上、家庭上の命取りになる人はそれらの面倒をなくすために金を出す。一万二万の金でそれらを回避できるなら安いものである。

学生だったらいざ知らず、女が好きな男でも、男が好きな男でも同じだ。

ホモの場合はハッテン場という便利な場所があって、公園であればタダでできる。サウナ等の施設であっても二千円から三千円で相手を探せるが、自分の好みの相手がいるとは限らず、いても相手にされるとは限らない。公園でいたすと捕まるリスクだってある。時間を無駄にし、リスクを負うくらいなら売り専に行くという選択になる。

妻や恋人ではケツの穴に指を入れてもらえないので性風俗に行く人がいるのと同様、パートナーがいても、ノンケとしたい人は売り専に行くという事情もある。

「モテないから風俗で処理する」「モテないからキャバクラで恋愛気分を楽しむ」という層がいる一方で、「仕事が忙しい」「失いたくないものがある」という事情が多くの男にはまとわりつくため、「モテない」という事情とは別のところで、性風俗が成立する余地があるが、ここには男女差がなおあって、どうしても売り専の女の客は「モテない」という比重が大きくなるようだ。

と思ったのだが、女の客でも「モテない」とはまた別の仕事上の制約が売り専を支えていることがボーイたちの話を聞いているうちに、だんだんわかってきた。

 

 

風俗嬢の客はセックスを求めない

 

vivanon_sentence彼らが所属する売り専バーのマネージャーは客の傾向をこう説明する。

「男の客は三十代から四十代が中心で、それより上の世代も幅広く来ます。女の客は二十代から三十代が中心で、上の世代への広がりはあまりない。時間帯からしても、家庭の主婦みたいな人はまず来ません。女の客の四割が風俗嬢で、四割が水商売、二割はその他ってところでしょう」

しかし、ボーイたちからすると、この職業分布の見込みは少し違うみたいだ。

「半分以上が風俗嬢だと思いますよ。そのほとんどはソープ嬢です。ヘルス嬢はたまにいる程度です」(涼)

「最初からはっきり言う人もいるけど、たいていはエステティシャンとかキャバ嬢ってウソを言いますね。でも、雑誌にソープ嬢として出ている(笑)」(切人)

マネージャーはそこまでは調べてない。

風俗嬢がそれだけ多いのは、「時間の節約のために金を出す」という事情が生じるためでもあろう。とくにソープランドだと、早番遅番に分かれておらず、昼から閉店までの勤務になる店が多い。翌日休みであれば深夜から朝まで遊んでいられるが、普通の仕事をしている人たちは寝ている。休みは多くても、土日が休みとは限らないので、相手に合わせることが難しい。

その分、金はある。ソープ嬢は性風俗に向かう男に近い事情が生ずる仕事だと言うこともできよう。

 

 

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