松沢呉一のビバノン・ライフ

ホステスの定番人気と例外人気—ホステス体質・風俗嬢体質[中]-[ビバノン循環湯 531] (松沢呉一)

ホステスは計算が必須・風俗嬢は計算不要—ホステス体質・風俗嬢体質[上]」の続きです。

 

スタートからゴールまでが全部違う

 

vivanon_sentence昔の芸者さんは自分が政界を動かしていると自負しているのがいて、事実、そのくらい政治家との関係が強かった。そこまでのことはないにせよ、今も「君はこの件についてはどう思うかね」と客に問われて、答えられるくらいの知識があった方がいいわけだが、それだけではなく、相手の値踏みをするためにも、クラブ・ホステスはさまざまな情報を得ていた方がいい。相手の会社が上場企業かどうか、株価はどうか、将来性があるのかどうかまで知っておかないと、痛い目に遭う。

そりゃ風俗とは全然違い、ホステスさんたちがハッチャキになるのも当然かもしれず、おべんちゃらもうまくなければならないし、時にはウソも必要。

「体も中身も、上から下まで全部作り込んでいて、ウソで固めているようなのもいましたよ。“あんた、人間なの?”ってカンジでしたよね」

ここまでできるのは、金のため、権力のためもあるだろうが、計算通りに自分を作り込んで動かしていくこと自体に快楽を得られるタイプの女たちってことなのだろう。

「風俗ではそれよりも素がいいコの方が受けますね。顔もスタイルもいいし、服やお化粧のセンスもいい。頭もよくて、非の打ち所がないタイプは水商売ではよくても、風俗では案外ダメです。きれいというより、かわいいタイプが受けます。見た目も性格も。接しやすいというか、気取らないというか」

プライドという言い方をしてもいいかもしれないが、プライドが高く、自分を晒さず、人を寄せつけないタイプは風俗では受けない。これが受けるのは女王様くらいじゃなかろうか。

「この店でも、普段接していて、女から見ても“このコはいい子だな”“かわいいコだな”というコが指名されます。松沢さんが気に入ってくれている純ちゃんは、私から見てもかわいいですよ」

エヘヘヘヘ。ってオレが照れる筋合いじゃないのか。

「風俗の場合は肌を合わせるから、ウソはバレる。ウソが入る部分があるとしても、どこまでもウソというのは無理でしょ。最終的には肌が合う合わないだから、そこまではウソをつけない。同じプレイをしても、顔や体は好みじゃないのに、どうしても肌が合うっていうことが女の側にもあるように、お客さんの方にも当然ある。そういう人が長い間、指名してくれるんだから、自然さのない無理なサービスをいくらやってもダメです。あと、人気のあるコたちは、みんなエッチな好奇心が旺盛で、自分自身、楽しむとか、やったことのないことを積極的に試みるタイプです。そういうどん欲さみたいなものが風俗で言うプロ意識だと思います。純ちゃんはやっぱりそうですよね」

そうなんである。彼女は自分自身楽しみつつ、「前立腺マッサージを覚えたい。今度やらせてください」なんてことをよく言っている。彼女は人が良すぎて、クラブでやっていけるタイプではない。

「そういうコたちは、自分を自然に晒せば受けるのに対して、水商売は思わせぶりで引っ張る世界だから、いかに本当の自分を晒さないかです。スタートラインから、行きつく先まで全部違うんですよ」

※Googleストリートビューより西船橋駅北口

 

 

水商売は見物が楽しい

 

vivanon_sentenceもちろん、それぞれに例外はあって、風俗でも演技派はいて、思わせぶりで引っ張るタイプもいる。ただ、全体としては、このような傾向が確かにありそう。

「水商売でも、“どうしてこの人が……”っていう例外はいましたよ。水商売の場合は同じテープルにつくし、そうじゃなくても、どんなことをしているか遠くからでも見えるから、それぞれどうして人気があるのか、だいたい納得できるんですよ」

私は酒を飲まないのだが、飲み屋に行くのは好き。とくにホステスさんのいる飲み屋が好き。接客を見るのが楽しいのだ。

 

 

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