松沢呉一のビバノン・ライフ

公共の場で開催されているキンタマもスジも丸見えのイベント—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[補足編 1]-(松沢呉一)

裸祭りの「事故チンコ」とサンバダンサーの「事故乳首」—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[8]」の続きです。

 

 

 

ボディペインティングと「全裸」

 

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前回自分で書いたことに大いに触発されまして、裸とエロの関係についてずっと考えています。長年エロについて考えてきた私ですが、この辺についてはなお考える余地が残されています。本筋とは離れるので、補足編として出しておくことにしました。

公共の場で晒される全裸としてはボディペインティングがあると気づきました。日本では全然盛んではない。1970年代にはサイケ、ヒッピー、ハプニングの流れで、少しはやられてましたけど、裸に描くわけですから、日本では公開の場ではやりにくい。女体盛りと同じような位置づけです。自宅でボディペインティングをやってもバカみたいですし。

しかし、欧米+αでは70年代からナチュリズムともシンクロして脈々とボディペインティングの潮流が続いていて、とくに2000年代に入って巨大イベント化してきています。

以下はオーストリアで毎年開催されているWorld Bodypainting Festivalの動画。

 

 

面白い+楽しそう。

これもルーツはナチュリズムだろうと思うのですが、このWBF自体は1998年にリゾート地であるペルトシャッハ(Pörtschach)から始まり、2017年からクラーゲンフルト(Klagenfurt)に開催地が移動。世界各国から参加し、現在50カ国から参加者が集まるとのことです。

WBFはコンテストをメインにした有料のイベントであり、3日間の動員数3万人。1日1万人として、ざっと東京レインボープライド規模の人が有料で集まるわけです。子どもの入場も可。そりゃ子どもは楽しいべ。しかし、誰もが気楽にボディペインティングに参加するのではなく、世界から精鋭が集まってワザとセンスを競います。

クラーゲンフルトはオーストリアの中では6番目に大きい都市とは言え、人口は10万人の長閑な地方都市であり、周りは山と湖という環境もあってか、ペインティングのテーマはファンタジー系に偏りがあって、「ボディペインティング+特殊メイク」による妖精や魔女、妖怪のコンテストといった趣です。

右の図版はWorld Bodypainting Festivalのサイトより過去の優勝者です。

全裸にペインティングしている人も当たり前のようにいますが、これを全裸と呼ぶのはしっくり来ない。一皮も二皮もかぶっているので、全裸かどうかもわからないし、全裸だとしても全裸感がない。動画によっては年齢制限もついてません。

有料なので、誰が通りかかるかわからない状態ではないですが、日本では公然わいせつ罪に該当ってことになりそうです。スジが見えていたところで、これを猥褻とするのはどうかしてましょう。

 

 

これは疑いのない全裸

 

vivanon_sentenceそのペイントをする過程の動画がこちら。

 

 

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