松沢呉一のビバノン・ライフ

この国を支配する三種の人々と投票率の低下—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 3]-(松沢呉一)

北京ビキニと天安門広場の全裸—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[横道編 2]」の続きです。

 

 

出遅れるニッポン

 

vivanon_sentence何かと日本はアジアの中でも出遅れるようになっています。経済面、学術面だけでありません。また、日本の先を行くのは中国だけではありません。

事前には台湾まで行って状況を見てきていたのに、成立してからここまで触れる機会を逸してましたが、同性婚は台湾がアジア初。

 

2019年5月20日付「TAIWAN TODAY」より

 

なぜこれが実現したのかについては「アジア初の同性婚実現間近の台湾へ」を参照してください。

プライドパレードの規模は後発の台湾がとっくにアジア最大。こうなったのは台湾特有の事情があったためですが、同時に日本の規制が日本のパレードの足を引っ張っりました。台北でもソウルでも片側車線すべてを使っている。それを経験すると、日本はしょぼく感じてしまうので、海外からの参加が増えない。現実に「日本のパレードはつまらない」という声が出ています。各国、観光客を呼ぶ素材としてプライドパレードを行政もバックアップしている中、規制がそれを妨害しています。

同性婚については、タイもこれに続きそうです。

27番目という見出しで思ったんですけど、同性婚ができる国と全裸自転車ができる国はかなりまでかぶっているのではなかろうか。全裸は無理として、WNBRもアジアで唯一台湾がやっていることはすでに確認した通り

韓国と日本は状況が似ていて、保守勢力が強いので、同性婚も全裸自転車も出遅れていますが、ボディペインティングは韓国のテグがアジアの拠点

 

 

不自由と感じなくなるところに至った不自由

 

vivanon_sentence国境なき記者団による報道の自由度ランキングでも、日本(2019年度67位。以下同)より、韓国(41位)や台湾(42位)の方がずっと上。日本はモンゴル(70位)、香港(73位)と同じくらいの第二グループです。

 

 

あくまで報道の自由度であり、性表現の自由度は反映されていないと思いますが、ジャーナリストのアンケートが数値化されたものなので、ジャーナリストが自覚していない不自由さは数値化されない。

たとえばエロ中継摘発の記事に疑問さえ持たず、「WE THE NIPPLE」のようなものを取り上げようともしないこの国のメディアの不自由さは意識に上がらない。アンケートでは拾えない欠落を数値化すると、トップグループとの数値の差はもっと広がるかもしれない。

この順位を見ると、性表現の自由度と報道の自由度は相関関係がありそうです。北欧圏が上位に並んでいて、トム・オブ・フィンランドの切手を出したフィンランドは2位です。

でも、大丈夫、中国(177位)、北朝鮮(179位)には圧倒的に勝ってます。日本スゲー。

 

 

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