松沢呉一のビバノン・ライフ

新潮文庫から11月に発売予定—『マゾヒストたち』(1)-(松沢呉一)

 

 

「スナイパーEVE」の廃刊と『マゾヒストたち』

 

vivanon_sentenceとっくに出ているはずだった新潮文庫『マゾヒストたち』は、11月の発売を目指してゲラチェックをしているところです(早い書店では10月末に店頭に並ぶはず)。

発売が遅れている間に「スナイパーEVE」は今年の5月発売の号で廃刊となり、その追悼の文庫みたいになりました。「スナイパーEVE」の読者さんたちは『マゾヒストたち』を買って泣きながら読むとよいかと思います。

 

「スナイパーEVE」72号

スナイパーEVE」がなくなったことは私にとっても重い意味があって、そのことについて書いておきたいのですけど、ここまでなかなか書けないでいました。

これだけでなく、思うところがさまざまあるので、『マゾヒストたち』の事前宣伝を兼ねてつらつら書いていくことにしました。

まず「ビバノン」講読者へのお知らせです。ゲラまで至って役割を終えたので、「作業用」として「ビバノン」で公開していたインタビューは、掲載しないもの以外は非公開としました。

ネットに出しておいた方が本の売り上げが伸びたりもするのですが、ざっとまとめたものだったため、誤字脱字や表記の不統一が多かったのです。

また、ここに出していたのは、元原稿にインタビューの起こしから加筆したものなのですが、雑誌に出たものは編集者が直しを入れていて、その直しが反映されていないため、固有名詞や事実関係の間違いもあり、今から直すのも面倒です。あとは文庫を読んでください。

表紙のイラストを誰に依頼するのかも先週決定し、快諾してもらったとのこと。嬉しい。表紙が完成するまでは誰なのかは秘密にしておきます。完成がメチャ楽しみです。

 

 

18人のマゾヒストたち

 

vivanon_sentenceこの本には18人のマゾヒストたちが登場します。日本のマゾヒズム界の精鋭たちです。

スナイパーEVE」ではもっと多くの人たちにインタビューしていたし、「スナイパーEVE」以外でやったインタビューもあるのですが、絵を描くなり、文章を書くなりを通して、自身、マゾヒストであることを公言している著名な人は外しています。「職場にも家庭にも近隣にもいるかもしれない存在」ではなくなってしまうためです。

あそこまでの人たちはそうそういないと思いますが、マゾはいたるところにいるのです。人のいるところにマゾは必ずいる。じゃないと、都内だけで数十という単位存在しているSMクラブやSMバーはやっていけません。

また、内容がかぶっているものも外しました。金蹴りの話はいくら聞いても理解しにくいのですが、いくら聞いても理解できないんだったら一人でいいかなと。かぶった場合は、比較的マゾ歴の浅い人を外しています。長くやっている人はそれだけで価値がありますので。

 

 

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