松沢呉一のビバノン・ライフ

ポルノ解禁とポルノ産業の関係—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[17]-(松沢呉一)

今年はボルノの完全解禁から50年—そろそろ刑法174条(公然わいせつ)と175条(わいせつ物頒布)を見直しませんか?[16]」の続きです。

 

 

ポルノ解禁でポルノ産業は凋落したのか?

 

vivanon_sentenceポルノ解禁は、性解放と表現の自由を求める人々によって実現され、保守派も解禁に賛成したのは、そうすることによってポルノは衰退するとの予測があったためです。現にポルノは多くの国で解禁直後は売り上げを伸ばすのですが、すぐに低落していく結果となりました。ここまでは事前の予想通り。

しかし、前回見たポルノ解禁50周年の記事は、ポルノ産業で大きな利益を得た人物を取り上げて、長期で見た時には、保守派の人々が願ったようにポルノ衰退にはならなかったことを見せています。

あれは短い記事なので、そうなった事情をしっかり説明してくれてないですが、2019年8月20日付「FORBES」の「Porn Was Legalized 50 Years Ago, This Is How The Business Has Changed」がポルノ産業の変化を振り返っていて、長い目で見た時にはポルノ産業は衰退しなかった事情が理解できます。

「ポルノ解禁」→「ポルノ雑誌の低調」→「ポルノ映画のヒット」→「家庭用ビデオデッキの普及」→「インターネットの登場」→「スマートフォンの普及」という流れであり、文字としてのポルノ、印刷物としてのポルノは衰退して、映像のポルノが発展していきます。

印刷物のポルノ、つまりは写真のポルノでも、少しはストーリーらしきものがありましたが、もっぱら性器が見たいという欲望に支えられていたのに対して、映画はストーリーやアイデアが問われます。そこに秀でた作品は低予算でも世界的に大ヒットする。もちろん、消しは入ってましたが、「ディープ・スロート(Deep Throat)」や「グリーン・ドア(Behind the Green Door)」は日本でも大いに話題になってヒットしました。

 

 

 

 

機器の発展がポルノ産業を拡大した

 

vivanon_sentenceビデオの時代になると、制作費が落ち、個人制作も可能になります。映画や印刷物に比べて、少ない利用者にも応じられます。100人いれば価格を上げて商品化ができますから、SM、フェチ、スカトロに表現も可能になって、ここでは性器の価値は低い。

さらにインターネットの時代になると、誰にも知られずに楽しむことができるとあって、マーケットは拡大し、とくに女性利用者が激増しました。この記事では3割という数字が出ていますが、インターネットで有料ボルノを利用する女性の率はもっと多い数字も出ていて、男女差はなくなりつつあります。

個人配信も可能になって、ここではもはや監督も撮影者も必要がない。「最低ロット」なんてものもなく、興味のある一人がチップを払えば金を得られます。

といったように、表現形態が変化し、その変化に伴って経営主体が変わっても、ポルノは衰退することはなく、長い視点で見れば、大いに発展したと言えます。

 

 

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