松沢呉一のビバノン・ライフ

現実には臨機応変にマスクをしている—北欧諸国がマスクに積極的ではないのは正しくマスクを評価しているため[下]–(松沢呉一)

人口密度が低いためでもありそうだけれども—北欧諸国がマスクに積極的ではない理由[上]」の続きです。

 

 

マスクのリスク

 

vivanon_sentenceスウェーデンのマスク事情は「感染者・死亡者・陽性率の劇的低下—スウェーデン方式は正しかった[上]」でリンクしたAFPの日本語記事「マスク着用に「ノー」を貫く、スウェーデンの新型コロナ対策」に出ている通りですが、スウェーデンの政府や行政も「つけなくていい」「つけるな」と言っているわけではなくて、公衆衛生局のサイトにマスクについての解説が出ています。

 

 マウスガードを使用すると、誤った安心感が得られ、症状のために家にいることや距離を保つなど、他の推奨事項に従わないリスクが生じる可能性があります。 また、マウスガードがない場合よりも、マウスガードに触れて、手で感染を拡大するリスクがあります。

 

自動翻訳です。

30ポイントしかないのに80も90もあるように錯覚し、20ポイントのリスクがついてくることを忘れがちってことです。

混雑や密着を避けられない時はする意味があるのだけれど、それよりも外出を控える、手を洗う、距離を保つ方が大切であるとあります。

フィンランドに近い姿勢です。特定条件下では有効だけれど、負の効果があるため、推奨まではしない。

もちろん、これらの国々でも医療現場や介護現場ではマスクの着用が必須です。予防効果のある基準以上のサージカルマスクと目の防護です。

※このイラストは英国政府のサイトで今月施行のプチロックダウン・ルールを読んでいる時に、リンクされていたソーシャルケアのガイダンス・ページに出ていたものです。対象者に触れる場合はもちろん、2メートルの距離を保てない場合は、基準をクリアしているサージカルマスクと手袋と目の防護具が必須。文章内ではフェイスシールドという言葉は出ていないですが、このイラストではフェイスシールドをしています。介護施設に限ったガイダンスではないですが、当然介護施設は含まれます。食事を提供する場合でも、2メートル以内に接近する場合はこの格好。たまたま見たものであり、北欧でどうなっているのかまでは確認していないですが、同様のガイダンスが出ていると思います。

 

 

マスクは他者へのアピールが第一義

 

vivanon_sentenceまた、「Anders Tegnell and the Swedish Covid experiment」で、アンダース・テグネルはマスクについてこう言ってます。

 

 

「私は複雑な問題に対する簡単な解決策があまり好きではありません」「マスクは簡単な解決策であり、複雑な問題の簡単な解決策は信用できません」「マスクは実際的な対策というよりは、声明のようなものです」

 

 

マスクは「私は他人にウイルスを感染させない優しい人間です」「私はウイルスのことをしっかり考えている良識ある人間です」「周りに合わせることのできる人畜無題な人間です」という声明です。それが求められている役割のほとんどであることは同志社大の調査で明らかです。

マスクの義務化をした国々の背景についてはここまで何度か見てきましたが、政府としては「ちゃんと国民のことを考えている」という声明になっています。

ここで思考が停止してしまう。「この場合はマスクは有効か。もっと有効な方法があるのではないか」あるいは「ここではマスクをする必要はないだろう」なんてことを考えることはしない。

その人たちが見失っているものは例えば介護施設の対策です。ここまで見てきたように、おそらく働いている職員でさえも、手作りマスクや安い市販のマスクさえしていればいいと考えているのがいます。

これは行政も同じ。マスクをしていれば、それ以上の対策は不要と考える。その結果、介護施設の感染が出続けているとしか思えない。

※2020年9月26日付「東京新聞」 これによると、神奈川県では病院と介護施設でクラスターが発生、いくら防護してもゼロにはならないとしても、こうも介護施設での感染が続いているのはやっぱり対策が十分になされていないためだと思うしかない。

 

 

集会では上がるマスク率

 

vivanon_sentence北欧のプロテストはまた「ポストコロナのプロテスト」シリーズで取り上げますが、以下はストックホルムでのBLMです。

 

 

 

 

動画を撮りながら、スチールを撮る秋山理央方式。

3割以上マスクをしている感じです。この集会は50人を超えているので違法です。警官もいますが、黙認。屋外ですから、距離を保てている限りは、ルールの趣旨からいって見逃すってことでしょう。

 

 

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