松沢呉一のビバノン・ライフ

ウクライナのアンチ・ロックダウンの中心は中小企業の経営者たち—ポストコロナのプロテスト[92]-(松沢呉一)

東ヨーロッパにおけるトランプ支持の錯綜—ポストコロナのプロテスト[91]」の続きです。

 

 

 

帰国したウクライナ人への攻撃

 

vivanon_sentence以降はウクライナをジックリ見ていきます。

コロナ期に入ってからのウクライナのプロテストは早いです。ただし、内容はいただけない。

 

 

 

 

2月21日、ウクライナ政府は武漢にいたウクライナ人を中心とした帰国者をチャーター便で迎え入れたのですが、その移動のバスが、通行を妨害されて襲撃されました。帰国者の大半がウクライナ人なのに。ウクライナ人じゃなかったとしても、これはないわ。

てっきりまた排外主義の極右の仕業かと思ったら、動画に出ているような人々です。バスが通る村の住民たち。政府は感染することはないと言っていたのですが、純朴な無知によるパニックです。極右を疑ってすいません。

この段階ではウクライナでは1人として感染者は出ていなかったのですが、この段階だからこうなったのか。

ここまでは至らないとしても、恐怖のあまり頭がおかしくなっていた人たちが世界のそこかしこにいて、不安に陥った人たちはさらなる不安を自ら求めるため、不安を煽る記事はアクセスが増えて、デマと言っていい記事までが出てくるという循環に入っていきました。

この頃私は何をしていたんだっけと思って、今「ビバノン」を読み返したら、感染症に関する知識がなさすぎることに気づいて、ひたすらコレラチフスの歴史を調べてました(笑)。こういう時は時間の軸や空間の軸をずらして冷静に「今ここ」をとらえることが大事。いつもの通りに笑いも入れていて、笑いも大事です。極限の状態にあった強制収容所でも笑いが大事だったのと同じで、こういう時こそ笑いが人の正常を保ちます。

 

 

#SaveФОПってなんだ?

 

vivanon_sentenceウクライナでは3月3日に最初の感染者が発見され、しばらくは国外からの帰国者や国外からの来訪者と、そこからの感染だけだったのですが、3月下旬から国内での感染者が急増。

 

 

2021年1月23日付「worldometers

 

 

その前から店舗への規制が始まってましたが、グラフではほとんど棒線がまだ見えない3月30日から緊急体制に入り、ロックダウンが本格的に始まります。政府の対応は素早い。マスクの義務化をこの段階で実施したヨーロッパの国は少ないだろうと思います。適切だったのか過剰だったのかはわからないですが。

マスクだけでなく、非常に厳しい内容です。緊急時や子どもの同伴者を除き、2人以上の移動は禁止。16歳未満は大人の付き添いなしで外出禁止。ペットを散歩させる場合を除いて、公共の公園や庭園に入園禁止。10人以上の集まりは禁止されています。

対するアンチ・ロックダウン・プロテストも早いです。集会規制が打ち出されるとすぐにプロテストが始まり、この時に動いた人たちが今もアンチ・ロックダウンの中心になっています。

この人たちです。

 

 

 

これは昨年11月のものですが、たびたび警察と激しく衝突しています。

白い旗に文字が書かれたフラッグが目印で、旗をいっぱい立てたがるのはたいてい労働組合か右翼ですから、「トランプ支持」とか「パンデミックは計画された」と書かれていたらイヤだなあと思いながら、文字を読んだら、#SaveФОПと書かれています。旗を振っているものだから、文字を読むのに苦労しましたぜ。

言語によって発音が少し違ったりするのですが、通常のキリル文字の発音からすると、ФОПはフォップ(FOP)です。ФОПをウクライナ語で自動翻訳にかけても出てきません。

 

 

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