反プーチンの巨大プロテストは続く—ポストコロナのプロテスト[108]-(松沢呉一)
「ボビ・ワインはウガンダの反同性愛法制定に寄与したクズ—ポストコロナのプロテスト[107]」の続きですが、内容は「「プーチン宮殿」がロシア国民を激怒させた—ポストコロナのプロテスト[101]」「今週末も目が離せない反プーチンの動きと軟禁をやっと解かれたボビ・ワインについて—ポストコロナのプロテスト[105]」から続いてます。
87都市で5千人以上が逮捕された
昨日はロシアの87都市で5千人以上が逮捕されました。多くのメディアが参照している、このサイトが把握している数字ですから、実際にはこれよりはるかに多いでしょう。
人数もさることながら、87都市という広がりに驚きます。主たる都市のほとんどすべてってことです。
そのわりには荒れたって感じではありませんでした。
これはもっと激しい場面です。その場にいたというだけで、いきなりつかみかかられるようなこともありますし、抵抗すると間違いなくこうなります。
違法集会参加による連行であり、多くの人はただ黙って連行されるだけでした。一部の人はバナーやプラカードを出したことで捕まってますが、これも容疑は同じ。
香港で捕まると国安法で起訴されかねないですが、今回は違法デモってだけですから、捕まった時に警官を殴ったり蹴ったりしていない限り、ほとんどの人は一晩で釈放、呼びかけた人は罰金だけか思われます。ロシアの法律なんて知らんけど。
一週間ほど前にデモに参加していて拘束されていたナワルニーの妻は今回も捕まったようで、彼女もそこにいたってだけですから、前回はすぐに釈放されていたのでしょう。
ロシアのTVレインがもっとも充実
今回当局は集会呼びかけをしていた人たちを事前に捕まえていた上に、多数の機動隊を配備してデモや集会を阻止する態勢で、ほとんど何もできなかった地域もありましょうから、見事に抑えたとも言えますが、5千人捕まえても、その何十倍も人がいます。コールくらいしかできないとは言え、モスクワやサンクトペテルブルクでは集会が実施されているので、抑え切れなかったと言っても間違いではない。
多数のジャーナリストも連行されていて、警察としては、報道することは違法デモの煽動に当たるという解釈なのだと思われます。これはないわ。
The SUNやインディペンデントなど国外メディアも中継をしていたのですが、数百人しか観ていませんでした。当然であって、PRESSのベストを着た記者が一人で中継しても、広場で集会が開かれているわけではないので(早い時間帯は)、機動隊が立っている風景くらいしか撮れない。
それらの国外メディアは短時間で中継が消えていたので、中継しても無駄ということで切り上げたのかもしれないし、捕まったのかもしれないし。
そんな中で、感心したのはロシア・メディアでした。ナワルニーのチャンネル(Навальный LIVE)は多数の中継者がいて、適宜、映像を紹介していくので、ただ歩いている風景だけでも、8万人から9万人が常時観ていました。残念ながら、このチャンネルも暗くなる前に終わってましたが。
ロシアのTVレイン(Телеканал Дождь)は夜まで中継をしていて、常時20万人以上観てました。TVレインは衛星放送から始まった独立系チャンネルで、今はインターネットTVのようです。
こちらは、ジャーナリストが連行される際にも、どこのメディアかを聞いて報じてましたし、連行される護送車の中からの中継もありました。ロシアのテレビもやるもんです。こういう場合は何人捕まってもいいように、大量の中継者を用意しておいた方がいいと学びました。
ここがもっともよかったのですが、当然のことながら、すべてロシア語。何言ってるかわからん。
※ナワルニー・ライブより散歩中の皆さん。溜まると捕まるので、早い時間帯はずっと散歩をしているだけ。機動隊がいないところではコールが始まります。プラカードもフラッグもなし。たまに見るプラカードはバッグに入る程度の小さなものです。B4かA3か。広場に人が多数溜まってからは「H」のフラッグも出てました。キリル文字のH。ナワルニーのイニシャルです。
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