その先を見せてくれる人たちにしか金は出さない—緊急事態宣言に抗する[6]-(松沢呉一)
「宿泊施設とライブハウスはいよいよ厳しい—緊急事態宣言に抗する[5]」の続きです。
ライブハウスの支援クラウドファンディングはもうおしまい
このシリーズはもっと続ける予定だったのですが、悲しくなるばかり、虚しくなるばかりなのでやる気がなくなりました。
とくにライブハウスについてはもっと詳しく見ていくつもりで、話も聞いてあったのですが、緊急事態宣言が出た都府県で飲食店の許可をとっていたライブハウスで、小規模なところは補償金で一息ついて、あとは絶望的というのが結論。誰もが想像できる通りで、細かく見ていくまでもない。
それでも書いてあったことからいくつか悲しみを抜き出しておきます。
このイラストは「セーブライブハウス・エイド(SAVE LIVEHOUSE AID)」よりライブハウスオーナーたちの似顔絵。昨年暮れにやっていたものですが、47万円しか集まらず。参加ライブハウスは109軒。頭割りすると4千円。それを配分する前に経費で大半が消えそうです。
ライブハウスが叩かれていた頃は、客の方も「ライブハウスを守りたい」という意識が強かったでしょうが、有料配信だったり、支援グッズだったり、カンパだったりが続いて、「支援疲れ」しているのと、同じような趣旨のものが音楽、映画、演劇などで相次いで「支援慣れ」してしまってもう話題になりにくいのだろうと思います。
また、「ライブハウス」という大きなくくりでは金は集まらんでしょう。顔の見える特定のライブハウスだったらまだしも金は出しやすい。千人で千円だせば100万円。それも二度三度と重なると難しくなるし、二軒目三軒目になると、「もう十分金を出したよ」になりそうです。
それと同時に、このタイプのクラウドファンディングは前向きなところが何もないので、夢を見られない。
換気の悪いライブハウスではマスクをした方がよく、フェイスシールドだってした方がいいと私だって思いますけど、わざわざイラストで、みんな揃ってマスクして「いい子」アピールしちゃって、カッコ悪いと思ってしまいました。一所懸命なのにごめんなさい。せめてもっといろんなマスクをしてくれると、自分ではマスクをあんまりしないくせに、マスクが好きな私は「やるな」と思えたんですけどね。
同情を乞う以外に何も方法がなくなっているライブハウスが多いから仕方がないのですが、だったら、失敗しそうでも、新しい試みをやっているライブハウスを応援したくなるってもんです。現にそういうライブハウスもわずかにはあります。
※東京渋谷区池尻にあるライブハウス#chord(ハッシュコード)がプロデュースするアイドルユニット「想色.stream」(おもいろすとりーむ) 。このアイドルユニットで成功するかどうかはわからないですが、ライブハウスが場所と配信とネットワークを活かしてプロダクションとしてやっていくって試みのようで、こういう試みはいいと思うなあ。
「金くれ」署名の前にやるべきこと
私は署名していないですが、以下に5万人以上が賛同しています。
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