松沢呉一のビバノン・ライフ

加害者の責任をまるで無視して被害者ヅラする中国共産党—「武漢肺炎」という言葉[5]-(松沢呉一)

「中国共産党肺炎」「中国共産党ウイルス」が最適か—「武漢肺炎」という言葉[4]」の続きです。このシリーズは一回目の前半と最終回の後半以外はボツ記事を復活させたもので、昨年の夏から秋にかけて書いたものです。また、一部図版は今回改めてつけたものです。

 

 

 

蔑称をやめろとゲッベルスが言ったら従うのか?

 

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1939年のこと(嘘話です)。ゲッベルスが世界各国にこういう声明を出します。

「世界中に、わがNSDAPをナチと呼ぶ方々がおられます。これはNSDAPの蔑称です。このために、ポーランドなどではドイツ人に対する差別が激しくなっており、総統は大いに心を痛めております。今後この名称は使用しないように要請いたします」

たしかにNAZIは蔑称ですが、これに素直に従うか? 「だったらまずおまえんところがユダヤ人の迫害をやめろ。スラブ人への差別をやめろ」と言わないか?

しかし、中国共産党に対しては、なぜかヘイコラして従う人たちがいるわけです。

ここまで説明してきたように、「武漢肺炎」という言葉は中国メディアが使い始めたと思われます。

当初は「中国人から感染する」という思い込みが中国人差別につながったでしょうが、そんなん、最初だけで、以降は中国共産党が隠蔽したことから拡散された可能性があることや武漢ウイルス研究所から漏れた可能性があるにもかかわらず、言いなりのWHOの報告書でごまかそうしたことの方がはるかに大きい。

まずは隠蔽について中国政府に世界に対する謝罪と再発防止策の確約をさせるべきであるし、差別というなら、なによりウイグルやチベットに対する差別をやめるように要求すべきです。ナイジェリア人差別に対する民間人による差別とそれを放置した政府の責任も認めさせるべきです。

そういう要求をしている政府、メディア、個人もいるでしょうが、中国国内には、そんなことには触れず、ただ「中国人は差別されている」とだけ騒いでいる人たちが多数います(そのサンプルを用意してあったのですが、先日見たら何か問題があったらしくて、非公開になってました。他にも同様のものはいくらでもあるので、各自探してちょ)。

中国国内で「ウイグル人への差別はやめろ」なんて書いたら速攻で消され、場合によっては逮捕されますから、書けないことは理解しますが、だったら、中国共産党の言い分そのままに、「中国人は差別されている」なんて書くべきではない。どちらにも触れないのが理性ある態度であり、共産党の言い分だけを書くのはただのプロパガンダです。

しかし、怖いことに、中国人の中には「ウイグル人はテロをやるんだから、ウイグル人というだけでも収容するのは当然、殺されたとしてもしょうがない」「ナイジェリア人は野蛮なので差別されてもいい」と本気で思っている人たちがいそうです。これが国の方針なのだと思われます。

Intelligentsia action’: Polish civilians on their way to being executed ポーランド侵攻後、ナチスドイツはポーランドの知識層6万人を虐殺。これはポーランド人を家畜化するためにはインテリが邪魔だったためであり、ユダヤ人とは無関係。この写真は処刑される直前のもの。このようなポーランド人への憎悪を肯定するプロパガンダがそれ以前からなされていました。これについては次回

 

 

中国政府は国民の被害者意識を一方的に高めているふしがある

 

vivanon_sentenceアフリカ内他民族排除、他国民排除の動きをチェックしている時に以下の動画を観ました。

中国人の店が迫害されていると報じる:中国政府系CGTNの放送であり、2015年のものです。

 

 

 

中国政府が抗議をしたという内容であり、「資料映像」といったテロップは出ていませんので、これが中国人経営の店を襲撃したところの映像だと思いましょう。

しかし、映像を見ると、黒人が黒人に石を投げられているようです。中国人経営者は安全地帯で眺めているのかもしれないですが、この映像はおそらく中国人経営の店とは無関係です。

確かめてみましょう。

 

 

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