松沢呉一のビバノン・ライフ

フェミニズムで偽装したパターナリズムが通用しなくなった画期的事例—全国フェミニスト議員連盟によるVTuber排斥問題[上]-(松沢呉一)

矯風会がフェミニズムに見える人たちへ」と直接つながるわけではないのですが、「フェミニズムの根幹にあるものはなんなのか」「フェミニズムと矯風会のような宗教道徳団体はなぜ相容れないのか」「イタリア・ファシスト党が婦人参政権の実現を掲げ、ナチスが母性保護に力を入れたところで、両者ともフェミニズムと無関係なのはなぜか」といった疑問を考えていれば、全国フェミニスト議員連盟はフェミニズム団体ではなく、道徳に基づくパターナリズム団体であることがわかりやすくなろうかと思います。参考までに。

 

 

全国フェミニスト議員連盟によるVTuber排斥とその反発

 

vivanon_sentence 8月から9月にかけては世界の洪水や山火事を追うのに忙しかったものですから、松戸警察松戸東警察が松戸市のご当地VTuber、戸定梨香(とじょう りんか/略称「とじょりん」)を起用したことに対して、全国フェミニスト議員連盟とやらが抗議および公開質問状を出し、両警察署はすぐさま動画を引っ込め、これに対して有志による公開質問状が出された件についてはまったく知らずにいて、数日前にやっとNHKのまとめで気づきました。

いつものことながら遅すぎ。すでに十分批判はなされているので、私しかできない批判なんてものはなさそうです。

それでも全国フェミニスト議員連盟とやらが客観性のない思いつきで表現潰しを画策し、戦前さながらの道徳をふりかざして女の生き方を規制しながら、それをフェミニズムであるとするまやかしについては私も触れておくしかない。

なにしろ税金でメシを食っている議員の集まりであり、そこに参加している個人が純然たる個人としてツイートをしたというレベルではなく、議員という立場を明示しながらやらかしたことですから、その無責任さについては広く知らしめておく必要があります。

こういう人たちが議員であることに対する疑念を表明している人たちも多く、これはもっともです。いかに「議員たりとも批判は自由」とは言え、議員であろうとも議員でなかろうとも批判には一定の責任が生じますし、まして議員たちが寄り集まって「根拠なき難癖を楽しむ会」をやっているとあっては、議員資格を問われ、「こんな人たちに税金が使われているのか」と憤るのも当然です。

こういうタイプの人たちの主張はこれまでも、またこれからも、客観性、普遍性のある根拠が欠落した同様の思いつき・思い込みに基づくものではないかと疑う契機としても最適な例だと受けとりましたので、改めて内容を見ていきます。

※2021年10月4日付「NHK NEWS WEB」  これはいい内容でした。真っ赤な口紅をベットリつけて性的存在であることをアピールする全国フェミニスト議員連盟のメンバー(この団体の主張では口紅も否定されるべきでしょう。これについては次回やります)や「腹は出さない方がいい」「スカートはもっと長くていい」などと、戦前の警察並みの発想に流れる道徳派大学教授の意見も取り上げつつ、武蔵野美術大学の志田陽子教授による「議員が抗議するのは自由。しかし、自分らの行動の重みは自覚すべし」という意見やすぐさま引っ込めた警察の対応を批判する意見を最後に取り上げていて、いいバランスだと思いました。担当は千葉放送局東葛支局の女性記者です。

 

 

経緯のおさらい

 

vivanon_sentence以下は有志の呼びかけによるchange.orgでの署名です。これと「これまでの進捗について」のページをお見てけばだいたいの事実経過はわかります。

 

 

 

こちらの署名は今も伸び続けていて、7万人に達する勢いです。この署名をしている人たち、ネットで全国フェミニスト議員連盟を批判している人たちには、女性も目立ちます。もうひとつの特徴は国外からの署名が多いことです。

「自分らは男社会と闘っているから反発されるのだ」という都合のいい自己肯定の論はまるで通用せず、「根拠のない思いつきで難癖をつけたから反発された」「自分らの主張は女を縛り付ける道徳の焼き直しだから女たちにも反発された」という現実と早く向き合えるといいですね。

 

 

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