松沢呉一のビバノン・ライフ

COP26終了と銭湯の薪—人類に対する死刑宣告が出たっぽい-(松沢呉一)

 

死刑宣告が出たか?

 

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COP26は今日まで。成果はゼロではないにしても、目覚ましい成果は期待できない。「COP26が失敗するのは人類に対する死刑宣告だ」とか言っていたアントニオ・グテーレス国連事務総長はCOP26終了を前にして、わずかな希望と悲観的見込みを語ってます(下のSS参照)。死刑宣告がほぼ出てしまったってことでしょう。

たいした成果もない会議のために、ああやって多数の人が飛行機に乗って集まることも無駄であって、すべてスカイプとズームとメールで済ませた方がいいと思いますが、なかなかそうはいかないものです。思い切った対策をとるには国民の同意が必要で、その同意のためには関心の高まりが必要で、ああいうイベントがないとメディアも大きくは報じない。でも、結局は無駄だったかも。

火力発電はやめた方がいいとわかっていてもなかなかやめられない。ガソリン車はやめた方がいいとわかっていてもなかなかやめられない。寒いと石炭か薪を焼くのはやめられない。腹が減ると森林伐採して畑にするのはやめられない。人口を増やさない方がいいとわかっていても子どもを産むのはやめられない。人間はずっとそうしてきたのですから、これからもそうします。そして滅びる。

あと20年から30年でティッピングポイントを迎えると言っている科学者もいて、この場合のティッピングポイントは急速に気候の変化を迎えて一気に人類が滅びる転機を意味していて、「2100年には」という仮定は成立しない。人類はもういないですから。

コロナ禍で経済活動が停滞した昨年でも大気中のCO2濃度が落ちなかったように、そこに至ることは避けられないという意味ではすでにティッピングポイントを超えている可能性が高い。

実際のところどうなのかわからないですが、そうなる可能性は十分にあって、十分にあることがわかっていても、有効な手段はとれないで人類はもがいています。

ベラルーシとポーランド国境で居場所をなくしている数千人の移民さえも救えない人類に気候変動というテーマは難しすぎました。前に進めず、元に戻れず。彼らが人類の未来を見せてくれています。

※2021年11月12日付「BBC NEWS」 国連事務総長の最後の期待と悲観的見込みを伝える内容

 

 

木材も高騰

 

vivanon_sentenceでは、数回前の補足。

自己決定を重んじるポーランドのフェミニスト・戦前の道徳を重んじる全国フェミニスト議員連盟—補足・追記特集[3]」に、「薪で湯を沸かしている一部の銭湯は別にして、重油の値上がりで銭湯も困窮か」といった内容を書きましたが、「木材も高騰しているので、薪も高くなっているはずだ」と聞きました。

銭湯で使っている薪は関係ないと思いますが(後述)、検索すると、ウッドショックとして木材高騰についての記事や動画が多数出ています。おもに建材と家具用です。

 

 

 

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