松沢呉一のビバノン・ライフ

3ヶ月目に突入したところで禁煙成功宣言—タバコはいつでもやめられるので、またそのうち吸うと思う-(松沢呉一)

 

禁煙2ヶ月で改めて禁煙成功を宣言しておく

 

vivanon_sentenceよく酒や薬物の依存から脱した人たちが「完治することはない。いつでもまた元通りになる」といった発言をしています。そう自分に言い聞かせておかないと油断するってことでしょうが、そうは言っても、酒を飲まず、薬物を摂取していない状態が一定期間続いていれば、もはや「やめた」と言っていい。禁煙は3日が山ですから、3日間タバコを吸わないだけでも「やめた」と言っていいようにも思いますが、これだとまだ吸いたい衝動があまりに強いため、1週間なり1ヶ月なりをその基準としていいのではないでしょうか。

ただ、私の感覚として、一点ひっかかっていたのは、そこから派生した禁煙鬱(おそらく)がきつくても、タバコをやめること自体は、そんなにきつくなかったため、もう少しハードルを上げておきたく、それが「妨害をはねのける」ってことでした。それも先日クリアしたので、胸を張って「タバコをやめた」と言えます。

禁煙を始めて3ヶ月目に入ってますので、改めて禁煙成功宣言をしておくことにしました。

つってもまだ吸いたいし、禁煙をして以降さらに強くタバコの魅力を感じているので、このまま吸わずに一生を終えることは考えにくく、そのうち復活させると思いますが、今回はその途中経過報告であり、私がタバコを復活させることがあったら、やめられなかったためではなく、「いつでもやめられるが、やめたくなかったからだ」ということをはっきりさせておきます。

 

 

厳しさを自分に課すためにタバコを用意

 

vivanon_sentence高円寺パンディットの奥野君もそうだったように、私が喫煙所に時々行っていることを知ると、「我慢できずに吸ってしまいそう」と言う人がよくいます。私にとってはこれはそんなに厳しくない。前に書いたように、喫煙所は知らない人たちばかりですから、タバコを勧められることはなく、タバコをもらうこともできず、ニオイを嗅ぐと落ち着いて、満足できてしまいます。

実は喫煙所で一回タバコをもらってます。喫煙所でダベった人に頼んでタバコを1本もらって机の上に置いてあり、時々外に持って出ることもしてました。私が頼んでもらったもので、向こうに勧められたものではありません。その代わりバッグの中に入ったままになっていた予備用のライターをあげました。なんでもらったのかというと、極度にハードルを高めるためです。

この辺はマゾ的行動ですが、口にくわえると、ギリギリのところを味わえます。煙の代わりにギリギリを吸う。火をつけそうになったことは何度かありますが、今もなお無傷のタバコが机の上にあります。1ヶ月目だったら自信はありませんでしたが、2ヶ月目であればこれも可能。

むしろ、こういう刺激があると、つねに「やめよう」と意識することができます。「吸いたい」という気持ちが減ずるのと同時に「やめよう」という気持ちも減ずるために、気がゆるむ頃に禁煙は挫折します。「やめよう」という気持ちの維持策として、タバコを持っていることは有効だと思います。

※もらったタバコを手にして散歩するプレイ

 

 

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