松沢呉一のビバノン・ライフ

不快な思いをすることが極稀な場所・銭湯—「二度と来るか」と思った唯一の銭湯はその数年後に潰れた-(松沢呉一)

 

 

蚤の市で不愉快だったこと

 

vivanon_sentenceADHDしかいない集団—自分の中の発達障害・人格障害[中]」の写真を見るとわかりますが、にせぽよ酉の市でタトゥをむき出していたので、それを見た熊手屋のおばちゃんに「親が泣く」と叱られて、にせぽよは「親も入れてます」と返してました。たしかまだ40代のにせぼよのかあちゃんもタトゥが入っていて、娘のタトゥのこともよく知ってます。最近また入れたのは知らないでしょうけど。

このやりとりだけだと、丁々発止のやりとりをしているおばちゃんと客のようにも思えましょうし、実際、のせぽよはにこやかにかわしていたのですが、おばちゃんは険のある口調で、あとでにせぼよは「むかついた」と言ってました。あれはむかつきます。あのおばちゃんは本気で言っていたんですよ。「なんてことをしているんだ」って感じで。

直後にその熊手屋の娘さんがにせぽよのタトゥを見て「いいですね」と褒めてくれたのですが、たぶん母親があんなことを客に言ったために慌ててフォローしたのだと思います。そのくらい刺がありました。

それでも娘さんがいい感じだったので、ここで熊手を買っているのですが、その際に、にせぽよが「ふくろうの飾りもつけて欲しい」と頼みました。にせぽよの言葉をちゃんと聞けば「その分のお金を出すから」とわかるはずなのですが、おばちゃんはすごい勢いで「ただでさえまけているのに」みたいな言い方をしてきました。私も思わず横から「いやいや、別料金を出すってことですよ」と説明。

ここではなかったと思いますが、熊手屋さんに「今年はいつもより人出が多いですよね」と聞いたら、「今年は時間が短いからですよ」と言ってました。短い時間で売り切ってしまわなければならず、この時にもう売り切っていた店もある中、おばちゃんのところはまだ残っていたので苛ついていたのかもしれないけれど、客商売としてあれはないわ。

娘さんを含めて、他にもにせぽよに声をかけてくる人がいて、好奇心でしかないとしても、どっちかと言えば好意的。あのおばちゃんに対抗する好意的な人が3人いればよく、4人目からはプラスに持ち込める感じです。それがおらず、ただ罵倒されるだけだとつらいわな。

 

 

出禁になってもめげないにせぽよ

 

vivanon_sentenceにせぽよによると、銭湯でタトゥに嫌味を言ってくる人たちもあんな感じらしい。銭湯でも肯定的な人たちがいるから救われていて、嫌味を言う人たちしかいなかったらきつい。

それでも、にせぽよは出禁の銭湯にまた行っているのが偉い。にせぽよの家の近くってことで行っているだけで、その銭湯に魅力を感じているわけではありません。私から見ても、その近くにもっといい銭湯がありますから、ほとんどいやがらせで行っている感じです。金を払って報復戦です。

「もう来ないで欲しい」というお願いであっても、実質出禁ですから、公衆浴場としては不当であり(娯楽施設に近いサウナやスーパー銭湯はまた別としても)、訴えたら勝てるかもしれない。一般常識的に言っても、「最初から“タトゥが入っているのは来るな”と入口に書いとけ」ってことだと思います。

それ以降は、店からは言われてないそうなので、本来言ってはいけないことを言ったとの自覚はあるのではなかろうか。

しかし、いかに客側に非がないとしても、「もう来ないでください」と言われたら、一発で行けなくなる人もいそう。その方がうんと多いか。そこに限らず、すべての銭湯に行けなくなる人もいましょう。

もし私が言われたら、その場で言い返すかもしれず、言い返したら二度と行きにくい。言い返さなくても、それを言われたらもう行かないだろうなあ。にせぽよは偉い。

※本文に関係ありません。目白台の豊川浴泉です。

 

 

銭湯は「二度と来るか」になりにくい場

 

vivanon_sentence銭湯で「もう二度と来るか」なんて思うことはまずない。銭湯は無条件に気持ちがよくなる場です。マイナスポイントになる要素があるとしても、風呂のプラスポイントが上回るってもんです。

銭湯での不愉快な体験の筆頭は窃盗や客同士の喧嘩でしょうが、これは銭湯が悪いわけではない。そんな時でも風呂に入れば元気が出ます。

ところが、肝心の風呂に欠陥のある銭湯があるんです。具体的には冬の寒い日に行ったら、湯温が低い。客が多数いればその分、湯気が上るのですが、他に客がいないので、空気も寒い。これに出くわすと、さすがに「ここは冬に来ちゃダメだな」と思います。あくまで冬限定。

 

 

next_vivanon

(残り 1868文字/全文: 3746文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ