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コメントアーカイヴス約15,000字(佐藤一樹監督、高瀨和楠、岡庭愁人、長谷川光基、品田愛斗、吉田和拓、篠原新汰、小林真鷹、坂口祥尉)【チャンピオンシップ第2報】

◯佐藤一樹監督 試合終了直後ピッチ上のInterview(概要)

新たな歴史の1ページを切り拓こうと強い想いを持って臨んだ。ことしだけでなくいままでの先人――選手、スタッフ、サポーター、家族、支えてくれた方々、チームすべての力で勝ち取った勝利だと思います。選手たちはあかるくて、やんちゃで、元気で、一体感があり、ほんとうにおもしろい。ただ、切り換えられるところは切り換えられる。ぼくがいなくても勝てるチームになったと思います。

 

◯品田愛斗 試合終了直後ピッチ上のInterview(概要)

最後は自分自身情けない姿を見せてしまいましたが、仲間が助けてくれて感謝しています。(キャプテンの岡庭愁人は)すごく気持ちが入った選手で、自分もこの一年間引っ張られてきた。ほんとうに感謝しています。まだ課題しかない。少しでも早く世界で活躍できる選手をめざしたい。

 

◯長谷川光基 試合終了直後ピッチ上のInterview(概要)

(ほぼ泣きながら)そうですね、まだ夢みたいで。岡庭選手はけがで離脱していたので、気持ちの――――(涙をこらえ)すみません。ほんとうに気持ちのこもったボールを押し込むだけでした。みんなありがとう。また次のステージで戦えることを望んでいます。

 

◯ヴィッセル神戸 野田知監督 試合後共同記者会見(抜粋)

この試合に向けていつもの中盤とはちがうかたちを採用してうまくいっていました。後半早々にPKを与えたことが悔やまれます。
中盤の勝負だと思っていたので、中盤でいかにウチがボールを保持して押し込むか。逆に中盤を握られるとウチが押し込まれる展開になると思っていました。いつもとはちがうダイヤモンドのかたちにして前半はうまく行っていたと思います。

 

◯佐藤一樹監督 試合後共同記者会見

昨年は東の準優勝、最終節で山田さん(青森山田高校)に負けてしまいチャンピオンシップに出られなかった。昨年の3年生が残してくれた宿題ということで、この一年間は、なんとしてもEASTを獲るぞ! という想いで、選手もわれわれスタッフも日々サッカーに取り組んできたなかで、ことしは3年生が中心になって、J3と並行して戦うなかで、メンバーもいろいろな選手が役割を果たして、東を獲れた。選手たちにはひとつ歴史を塗り替えてくれた、ほんとうにがんばったなという話をしました。
山田さんに勝って優勝したところで、そこを目標にしていたので、選手のなかにもわれわれスタッフのなかにも、多少の達成感があり、今週のトレーニングには、少し疲れている表情がありましたけれども、週末になるにつれて、しっかりと自分たちで(試合の水準に)持ってくることができました。自分たちをコントロールして、主体性を持って日々いろいろなものに取り組んでピッチ上でも表現してくれました。この大会の最高成績は準優勝でしたので、今回優勝できたことは、彼らが日々の積み上げ、生き様をしっかりと表現できて結果を得られたことは、彼らにとってほんとうにすばらしい成功体験になると思います。

みんな想いが強すぎて、からだが全然動いていない(苦笑)。ふだんのわれわれが出せているものが、全然出せていない。逆に言えばヴィッセルさんがさすがで、圧をかけて(こられて)球際でも勝てない、セカンドボールも拾えない、運動量でも優れない。4-4-2でマッチアップしているので、戦術というよりは局面であきらかにヴィッセルさんのほうが上回っていましたし、自分たちがなんとなく差し込まれたような精神状態で前半を過ごしてしまったもったいなさがあったのかな、と。昨年のJユースカップの決勝は広島とだったんですけれども、その試合でも0-2で折り返した経験がありましたので、戦術的なところもありますけれども、選手を替えて。「このままで終わっていいのか。最初から(全力を)かけていくぞ」というところを共有して。こまかいことはいろいろありましたけれども、大枠で言うとそういう後半の入りになりました。

(――岡庭愁人選手も含めて二枚替えの意図は?)
ここまで信頼して、横山(塁)も吹野(竜司)もリーグを彩ってくれたバリバリの中心選手なので、替えるのは心苦しい部分もあったんですけれども、あきらかに固くなっていた。ヴィッセルさんが対策をしてきてほぼ仕事をさせてもらえなかったという部分もありましたので、ボールをしっかりと持てる杉山(玲央)、けがから戻ってきた岡庭(愁人)もずっと鼻息を荒くしていましたので(笑)、想定よりは早い投入になりましたけれども、ご覧のとおり、岡庭はやっぱり岡庭だな、という。あそこでパワーをもたらしてくれたし、玲央もポジションを替えて、相手の左をしっかりとパックして、かつ自分のクオリティで差し込んだ部分も出ましたし。荒川(滉貴)はもともと左の前の選手で、私が左のうしろ(サイドバック)で使ってしまって、申し訳ない気持ちもあります。草住(晃之介)と岡庭という後半から入った選手たちがものすごくよかったと思います。

(――初の高円宮杯のタイトルをとってみて、他のカップ戦との違いを感じるか?)
クラブユース選手権やJユースカップはある意味で短期決戦。生意気なことを言わせていただければ、チームの瞬発力、勢いが出せれば(どのチームも)優勝する確率はゼロではない大会だと思います。
しかし高円宮杯は年間を通じて長丁場のリーグ戦。最後にはチャンピオンシップもある。総合力、紆余曲折がありながらもしっかりと全員で戦っていかないと勝ち切れない、ごまかしのきかない大会だと思います。ほんとうに別格。いまはまだ、そのうれしさがバッと迫ってきていなくて、このあと喜びを噛みしめることになると思うんですけれども、是が非でもこれを獲りたかった。ほんとうに胸を張って日本一だと言えるのはこの大会だと思います。

(――同点にしたあとに高瀨和楠がビッグセーブを連発していたが?)
2-2になる前もそのあとも、一試合をとおして非常に高い集中力を発揮してくれました。彼はビッグマッチになればなるほど、力を発揮する選手。MVPと言ってもいい活躍をしたと思います。ムードメーカーで、チームにエネルギーをもたらせてくれる存在ですので、(高瀨)和楠がああやってビッグセーブをすることによって、チームが勇気づけられました。ただ止めるということ以上に、計り知れないエネルギーをもたらせてくれたのではないかと思っています。

 

◯佐藤一樹監督 ミックスゾーン囲み

横山も吹野もプレミアEAST優勝を彩る選手たちですのでリスペクトもしていますし、替える勇気が必要だったんですけれども、あまりにも情報がありすぎて(苦笑)、対策がしやすかった部分もあると思い、変化をつけてという狙いでの二枚替えでした。

(岡庭、草住)ふたりとも出たらやってくれるなと思っていましたし、力を出してくれた。横山も吹野もタテに推進力を出させてもらえなかった。中に行っても対策されたし、カットインすらさせてもらえない、サイドチェンジもできそうでできない、いいポジショニングをとられていたので、ピッチを広く使って揺さぶって、ということができなかった。
それをさせないヴィッセルさんの個の強さ。行けそうで行けない“圧”を醸し出している。マッチアップの際のところの出足もヴィッセルさんは速かったですし、思い切り仕掛けてくるのも、セカンドボールの回収も、すべての面でヴィッセルさんのほうが上回っていた。そうであれば、われわれはどうしようもない。やらなければいけない、勝たなければいけないという気持ちが重すぎて、からだが動かないというところだったと思います。

(――ハーフタイムに喝を入れたそうですが?)
バレましたか。ちょっとキレました。それは冗談ですけれども、「いい3年間をすごしてきて、おまえらこれで終わっていいのか!」と言いました。「45分で終わっちゃうよ」と。戦術云々の前に、本質を呼び覚ます作業が大事でした。こっちも勇気がいるんです。バッと行ったことで選手たちがシュンとして(よけいに下を向いて)しまったら後半3点め、4点めを獲られてしまう。「……と勢いよく言ったけれども」と、こっちもキレてるだけじゃないぞと冷静なところを見せてフォローしないといけない。
昨年、Jユースカップで広島に0-2から逆転して勝っている、そのストロングがDNAとして流れていると。経験、歴史があっての勝利だと思います。去年も0-2だったよな、と自分を慰める要素にもなっていた(笑)。

彼らが一年生で入ってきたときは「なんの動物園なの」(笑)と思いましたが、いまでは「今後ともよろしくお願いします」という(むしろ敬う対象)。いろいろな刺激が入った三年間の学年。厳しい状況をクリアしてきた選手もいますし。ひたすらシャトランを繰り返す厳しさよりも難しい状況のなかでがんばってきたんじゃないかな。それは幸せなことでもあると思うんですけれども、成長に結びつけたのはすばらしい彼らのパーソナリティ。みんないい顔しているし、仲がいいし。ぼくだけでは無理なので、スタッフが右田さん、小池さん、ことしから渡邉さんも来てくれて、GKコーチの(山下)渉太はセットプレーのところを全部やってくれた。変化を見守る、観察するところの作業は、スタッフに支えてもらった。一人ひとりに訊いたら「あれこれやらされた」という声が出てくるかもしれませんが(笑)。

(――最後に(小林)真鷹を使うのは決めていたんですか)
真鷹は昨年もいろいろなかたちでがんばってくれたし、心情的には出したいなと思っていて。ただ試合状況が試合状況だったので、岡庭もそうですけどこういう張りのあるゲームにはプレミアの最後は全然出ていないですし、いくら真鷹とはいえ心情的に長い時間起用してそこが原因で万が一のことがあったとき、彼にそこまで背負わせるのはかわいそうだなと思う反面、最後はピッチに立たせてあげたい、と。けがで出られない(坂口)祥尉のユニフォームはきょうもぶら下げていましたけれども、そういう想いを大事にできなかったら勝ちは絶対に転がってこない。さっき真鷹に「3分も使っちゃったよ」と言ったら「1分です」と。「そんなに短かったかな、ごめんな、でも3分使ってたらやられてたぞ」と言っておきましたけど。でもまあ、ほんとうにいっしょうけんめい、頭が下がるほどがんばっていました。雰囲気がよくなるんですよね、真鷹が出ると。みんなに愛されているから。

 

◯高瀨和楠の談話

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