山梨フットボール

「若手中心のターンオーバーが”対等に戦える“から”どうやれば勝ち切れるのか“に課題がレベルアップしたことを感じさせた、悔しさと少しの満足が入り混じった引き分け」【甲府2020明治安田生命J2リーグ第22節 新潟1-1甲府 レビュー】

荒木翔(左)、中山陸(右)が進化を見せた新潟戦。故郷での初の公式戦となった中村亮太朗(中央)は、後半途中からは疲れたのか無理をするアグレッシブさを出し切れなかった点はちょっと残念。それまでプレーは質が高かっただけに次は伊藤彰監督が交代したくなくなるパフォーマンスを期待。

2020年9月26日 新潟1-1甲府(14:33K.O/デンカビッグスワンスタジアム/入場者数 1,617人(新型コロナウィルス感染予防対策のため、制限付き)/天候 曇のち雨 無風/気温 22.7℃/湿度 62%)

得点者 63′ オウンゴール(新潟)  65’ドゥドゥ(甲府)

△△△○●○○△△△○△○●●○○○△△△△

き分け数が1位・10試合の甲府と2位タイ・9試合の新潟の対戦はお互いに数字を増やして甲府11試合、新潟が単独2位の10試合となる結果。甲府より上の順位の5チームのうち勝ち点3を積み上げたのが福岡だけで、北九州、長崎、京都がゼロ、徳島が1ポイントだっただけに“こういう節で勝ち点3を積み上げないと差を詰められない”ということに近視眼的にはなるが、今はまだ後半戦が始まったばかりなだけに勝ち点1とその“内容”に期待を繋ぎたい試合だった。

中交代で入った選手を含めて新潟は――エースFWの渡邉新太は骨折――ベストメンバー系、甲府は25歳以下の選手が7人先発のターンオーバー。前半の立ち上がりから対等に戦えている内容で、ターンオーバーで若手が経験を積んできた成果は出ていたし、中村亮太朗と山田陸の22歳のボランチコンビも誰と組んでも役割分担ができることを証明する内容。中盤の攻防は激しかったが相手の間に入るポゼッションで10分には中山陸が――DFに当たって公式記録のシュート数にはカウントされなかったが――パンチのミドルシュートを打って攻撃的な顔は見せた。

14分には中央をパスワークで突破して中村がシュートを打てそうなところで打たなかったのは“あっ~”一瞬と思ったけれど、左の荒木翔に出すとクロスをファーサイドの太田修介に合わせてシュート。「相当にいいインパクトで打てた」(大田)というシュートはDFに当たって枠にはギリで飛ばなかったけれど、太田が自信を持っているストライカーの怖さを見せつけた。18分にはサイドチェンジのボールを競り合った荒木が裏に走ったラファエルにギリギリのボールを入れて裏を取るが、判定はオフサイド。DAZNで見返せばオフサイドではなかったが、惜しかったのはラファエルがシュートを打たずに中に入り込んできた太田へのパスを選択したこと。副審が旗を上げてなくてもこのパスは通らなかったのでオフサイド云々はどうでもよくなったけれど、甲府が怖さをもう一段階上げるには14分の太田のようにシュートエリアはダイナミックな攻撃を見せたい。細かく見返せば、14分の太田のシュートの場面も中にはラファエルがいたので“そこに入れていれば・・・”とはなるけれど、優先順位は”チャンスには打つ“で今はいいと思う。

陣で相手ボールを奪い、そこからプレッシャーを受けながら繋いで、打開や飛ばしきれずにミスパスになって奪われて再び攻撃を受けることもあったが、新潟戦では大きな問題にはならず、チームとしてカバーし合えたことも素晴らしかった。新井涼平を中心としたDFラインも落ち着いていたし、効いていたのは山田と中村のボランチ。奪い返す力もあったし、プレッシャーがある中、相手選手の間でボールを受けてポゼッションをして相手のフォアチェックを何度も諦めさせていた。また、高い位置でもダイレクトプレスを掛けて最後は新潟の選手が自陣でスローインに逃げる場面もあって、第16節の群馬戦(1-0○)以降の成熟を感じさせた。前半の最後は新潟も甲府も疲れてきて山田がボールを受けるのを避けるようにも感じるポジションを取ったけれど――これも通る道だし――サイドで何とか繋いで無失点。

(残り 2877文字/全文: 4554文字)

ユーザー登録と購読手続が完了するとお読みいただけます。

ウェブマガジンのご案内

日本サッカーの全てがここに。【新登場】タグマ!サッカーパック

会員の方は、ログインしてください。

« 次の記事
前の記事 »

ページ先頭へ