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柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『魔女の宅急便』 飛行の快楽抜きのこの映画はスタジオジブリとはなんの関係もありません (柳下毅一郎) -2,995文字-

FireShot Screen Capture #049 - '映画「魔女の宅急便」公式サイト' - www_majotaku_jp

 

『魔女の宅急便』

監督 清水祟
脚本 奥寺佐渡子、清水崇
原作 角野栄子
撮影 谷川創平
音楽 岩代太郎
出演 小芝風花、尾野真千子、広田亮平、宮沢りえ、浅野忠信

(この映画はスタジオジブリとはなんの関係もありません)

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呪怨 劇場版 デラックス版 (初回限定版) [DVD] 映画を見るときは「この映画は誰のために作っているんだろう?」って考えるくせがあるのだが、この映画の場合は考えるまでもなく「ジブリ映画のファン」に向けて作られているのだろう。それがいかなる過程をたどって清水『呪怨 』祟の元にたどりついたのかは知るよしもないが、ともかくジブリ映画のファンが、ジブリ映画のような感動を与えてもらえるものと勘違いして見に来てしまうことを期待して作られた映画なのである。いわばジブリプロイテーション。ジブリ映画は国民的映画なのだから、ジブリプロイテーションは全国民に向けて作られる。だが「全国民」がターゲットなら、それはターゲットなどないのと同じではないか。したがってジブリプロイテーションはどこへ向いているのかもわからないままさまようのである……

さてこの映画であるが、もちろん原作は角野栄子の同名ジュニア小説。で、この原作のアニメ映画化がジブリ制作の宮崎駿監督作品。で、その原作を実写映画化したのが本作。あくまでも原作からの直接映画化で、宮崎アニメのリメイクではない。宮崎作品はいっさい関係ありません……と言えばいうほど怪しい感じになってくるわけだが、どういうわけか実写化の原作権がアニメと無関係だったらしく、こういうかたちで映画が作られることになってしまったわけである。で、その監督が『呪怨』でおなじみ清水祟。どうやらその昔ハリウッドで実写化のプロジェクトなどあったらしく、清水崇監督なら海外に売りやすいとかそういう思惑もあったのかなあ。

 

 

そういうわけなんで物語は基本的にはジブリ版と同じ。十三歳になった魔女のキキは一年間、修行のために一人で生活することになる。キキは街に出かけてパン屋に下宿、魔女と言っても空を飛ぶことしかできないキキは荷物を届ける「魔女の宅急便」をはじめる……ところでこれを書くにあたって宮崎版を見返してみたんだが、いや、宮崎版って本当に見事に脚色してあるよなあ。これ、原作は「キキ、~を運ぶ」というタイトルでいろんなものを運ぶキキが、コリコの町の人との出会いによって少しずつ成長してゆくという一話完結方式になっている。今回の実写版では二巻に収録されている「キキ、黒い手紙を運ぶ」と「キキ、カバを運ぶ」が中心になっている。ほとんど宮崎オリジナルのジブリ版と比べるのは酷だとはいえ、演出でなく脚色ですでに大きく劣っているというのではいったいどうしたら……

 

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(残り 1829文字/全文: 2947文字)


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tags: ジブリ 奥寺佐渡子 宮沢りえ 小芝風花 尾野真千子 岩代太郎 広田亮平 木下工務店 浅野忠信 清水崇 角野栄子 谷川創平

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