『神様はバリにいる』 うさんくさい見かけで中身もうさんくさい奴のうさんくさい人生訓・・・神頼み人生がまだバリには生きてるんですね (柳下毅一郎) -3,074文字-
『神様はバリにいる』
監督 李闘士男
脚本 森ハヤシ
出演 堤真一、尾野真千子、ナオト・インティライミ、玉木宏
断崖絶壁に近づいて靴を脱いだ美女がいる。ふらふら~と崖に近づく。脳内にフラッシュバックする借金苦映像。あーこれは! というところでようやっとやってきたのがスクーターにまたがった若者(玉木宏)。慌ててとめるのかと思いきや
「それ、ここじゃなきゃだめ?」
(は?)(心の声)
「そこやめてくんねーかなー? ほら、自殺の出たアパートとか値段下がるでしょ? 迷惑なんだよ~ なんだったらいい場所紹介するから、そこでやってくれない?」
というわけで若者に連れ込まれたのは豪華なゲストハウス。プールサイドにはリードでイグアナを引っ張り、ドラゴン柄のTシャツを着た柄の悪いおっさんがいる。
(うわっ苦手な人種)(心の声)
全身ゴールドをじゃらじゃらいわせ、金時計を腕にはめた成金然としたアニキ(堤真一)の登場だ。
(こういうのがいるから日本人が馬鹿にされるのよ)(心の声)
「おまはんみたいなんがおるから日本人が馬鹿にされるんやで」
(?!)
「まあええ、これ飲めや」
とアニキに勧められるままにワインをがぶ飲みした翌朝
「おまえ、生命保険で借金返すつもりで死のうとしたんやて? ちなみに借金っていくら?」
「……八百万ちょっと」
「やすっ!」
「大金持ちにはわかんないのよ!」
というわけで婚活ビジネスで会社をたちあげたものの経営難で借金苦、倒産寸前になってバリまで逃げて自殺を考えていた女社長祥子(尾野真千子)、謎の大富豪アニキに拾われて金もうけの秘訣を教わることになる……
なぜこのような映画が作られることになったのか。原作はクロイワ・ショウの『出稼げば大富豪』 婚活ビジネスを失敗して逃げたバリで資産家の「兄貴」と出会ってその人生哲学に共鳴し……つまり尾野真千子はクロイワ・ショウ自身ってことらしい。それでクロイワ・ショウの「アニキ本」が馬鹿売れ……したわけでもないんだろうけど、映画化しようと動いた人がいて、ガルーダ・インドネシア航空バリ路線とのタイアップもとれたところでじゃあ主人公を尾野真千子にしてバリ島に憧れて人生のリフレッシュとか言ってるOL層にも受ける映画を……と思って二兎を追ったらどこにも行き着かなかったという感じだろうか。
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tags: ナオト・インティライミ バリ 副音声映画 堤真一 尾野真千子 李闘士男 玉木宏 町おこし
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