『トマトのしずく』 お蔵出し映画祭グランプリ&観客賞W受賞作品!小西真奈美の異次元のカマトト演技が炸裂 (柳下毅一郎)
→公式サイトより
『トマトのしずく』
製作・監督・脚本・企画 榊英雄
撮影 宮川幸三
音楽 榊いずみ
出演 小西真奈美、石橋蓮司、吉沢悠、原日出子、ベンガル、柄本時生、角替和枝、三浦誠己、中村優子、柳英里紗、水野美紀、野村祐人
2015年お蔵出し映画祭グランプリ&観客賞W受賞作品! お蔵出し映画祭とは作られたはいいが公開されないまま眠っている映画をまとめて見せてコンペティション、グランプリ作品の副賞は劇場公開権!という地獄のようなイベントで、一昨年まで福山・尾道を舞台に開かれていた。2014年の第四回映画祭には出かけているので、詳しくはそっちのレポートを読んでいただきたい。映画祭は惜しまれつつも二〇一五年に終了。その掉尾をかざった受賞作が二本連続で公開となった。というわけで一人お蔵出し映画祭を敢行してきたわけである。
まずは『トマトのしずく』。これは二〇一二年に作られた小西真奈美主演作、監督は『木屋町DARUMA』などの榊英雄である。榊英雄が製作・監督・脚本・企画の四役をつとめ、音楽も榊いずみ(榊英雄の妻)ということなので、ほぼ自主映画と考えるのが適当なのだろう。しかしこれ、実にヒドい。お話は早くに妻をなくした頑固で口べたな父(石橋蓮司)と喧嘩して、何年も連絡していなかった娘(小西真奈美)が結婚することになるが、娘は父親に連絡しようとしない。見かねた夫(吉沢悠)が連絡をとるが、はたして……
いやこんなの「口べたで頑固な父も実は娘への愛情を人一倍抱えていた」って以外にどんなオチがあるっていうのよ。もうおんなじような話ばかりでいいかげんうんざりで、「口べたで頑固な父親」もそろそろ法律禁止案件なのではなかろうか。たまには「口べたで頑固な父親」が本当に無人情な男だった!みたいな映画も見たいもんだね。それならちょっとは斬新に感じられるかもしれない。
さらにすごいのはこのキャスティング。父親が石橋蓮司で、劇中で六七歳と言ってるんだが、六年前の製作であることを考えればほぼ実年齢と言っていいだろう。だがその娘が小西真奈美って! いったい何歳のときの子供なんだ小西真奈美! まあ無理とは言わないが、花嫁の父というにはちょっと……そして父親のせいでさらに年齢不詳になった小西真奈美が異次元のカマトト演技を炸裂させる! 酔っ払って年下の旦那に甘え、「おんぶして」って甘えてくるのだ。いやいくら小西真奈美でもそれはない! もはやカマトトの女王と呼ぶべきか。
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