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柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『心が叫びたがってるんだ』 説得力はアニメが好きだった人の記憶に頼っている感じで、そういうのってアニメファンも嬉しくないんじゃないかしらん (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

心が叫びたがってるんだ

監督 熊澤尚人
原作 超平和バスターズ
脚本 まなべゆきこ
音楽 横山克
出演 中島健人、芳根京子、石井杏奈、寛一郎、大塚寧々、荒川良々

 

face 秩父映画としておなじみの長編アニメ作品が実写映画化である。こういうのを見るたびに思うんだけど、このアニメを実写化したがる欲望ってなんなんだろうね。アニメを実写化することで、アニメ画に抵抗がある人にも受け入れられる……みたいなことなのかもしれないが、しかし通常実写と比べるとアニメの方が抽象度が高かったりするわけで、アニメなら成立する話が往々にして不自然なものになってしまう。この話の場合、ヒロイン成瀬順(芳根京子)がトラウマのせいで普通に喋ることはできないのに、歌なら歌える、という設定である。この漫画じみた設定を実写でやられて説得力があるかっていうと……こういうのってアニメにも実写にも不幸なことじゃないかと思うんだが、アニメを実写に、実写をアニメにしたがる人はあまりそういうことは考えないのだろうか。

 

 

さて、物語ははるか昔に遡る。おしゃべり好きで空想好きの小学生順、ある日山の上のお城からお父さんが車で出てくるところを目撃する。さっそく帰るとお母さん(大塚寧々)に報告。

「ママー、パパが山の上のお城から出てきたよ~ パパ、王子様だったんだね~ 隣にいたのはママじゃなかったのは、ママがお仕事あったからなんだね~」

 だからそれは言ってはいけない奴なんだよ! というわけで見事離婚にこぎつけたパパ

「おまえは本当におしゃべりだな!」

 と捨て台詞を吐いて家を出ていく。ってよりによって小学生の通学路に立ってるラブホになんか行ってんじゃねーよ! 秩父なんて人目に付かないホテルいくらでもあるだろ! 自分の手抜きを棚に上げて娘に当たってるんじゃなえーよ! まあそういうわけで呪いがかかって喋れなくなってしまった順なのでした。

そんな順も高校生になった。高校では「地域ふれあい交流会」というイベントが存在している。まあ秩父の人々と高校生が交流する学芸会的な誰もやりたくないイベントである。なので当然実行委員も押し付け合いになる……ところで

「委員は先生が決めてきました!」

 と勝手に決めて指名する先生(荒川良々)。指名されたのが順、巧実(中島健人)、委員長の菜月(石井杏奈)、野球部のエースだが故障中の大樹(寛一郎)の四人である。そもそも喋れなくて(喋ろうとするとおなかが痛くなってしまう)筆談ですべてを済ませている順を委員に指名とか、すでにイジメとしか思えないわけですが、おずおずと会合に出かけた順、巧実がミニアコーディオンで

「たま~ごに~捧げよう~」

 と妙ちきりんな歌ってるのを聞く(秩父三十四箇所巡りの第十番札所大慈寺が「卵にいい言葉を捧げると御利益があるとかなんとか)。で、先生が「企画はミュージカルとかどうかなあ」とか言い出すと順はやりたいです!と企画はミュージカルに決定する。ものすごく強引な流れなんだけどみんなこれで納得してるのか? で、順が一人で書いていた「悪い言葉を吐いた呪いで口がきけなくなってしまったお姫様の話」をミュージカル化することになったのである。まあともかく強引な展開……以外の感想が出てこないわけですが、これで納得してしまうのって相当な戯画化である。実写で見ても「マンガだなあ……」としか思えないよ。

 

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