柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『君のまなざし』 日本最速の『君の名は。』便乗映画。さすがは誰が死んでも三日後には本を出してしまう大川総帥 (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

 

君のまなざし

監督 赤羽博
原案・製作総指揮 大川隆法
脚本・総合プロデューサー・主題歌 大川宏洋
撮影 木村弘一
音楽 水澤有一
出演 梅崎快人、水月ゆうこ、大川宏洋、手塚理美、黒沢年雄、黒田アーサー、合香美希

 

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日本最速の『君の名は。』便乗映画である。なんというスピードと話題に乗っかる力! さすがは誰が死んでも三日後には本を出してしまう大川総帥というべきか。本作はその大川隆法総帥の実の息子、ニュースタープロダクション(幸福の科学系の芸能プロダクション)代表の大川宏洋氏が製作・脚本にとどまらず副主人公格で出演し、あまつさえエンディング・テーマまで歌っているという超オレ様映画。これまでも『仏陀再誕』で脚本、『ファイナル・ジャッジメント』の原案などオタク魂を発揮して幸福の科学の映画路線の中心にいた大川宏洋だが、まさかの映画出演! しかもある意味一番美味しい悪役を演じ、ワハハハと大芝居してワイヤーワークで吊られて飛びまわり、映画が終わるとマイクを握って一曲! 大神源太の『ユニバG物語』を彷彿とさせる究極のオレ様映画なのである。オヤジのイタコ芸で稼いだ金で息子はオレ様映画というわけで、信者もそろそろ目をさましてくれるんじゃないですかねえ……

 

 

7月20日。友達と河原でピクニックしていた健太(梅崎快人)は川に流された少女を救おうとして水にのまれてしまう。意識を失う直前に見たのは天宮大社に参拝したとき、どこか見覚えのある巫女に声をかけ、「警察呼びますよ!」と全身全霊で拒絶されたことだった。

「思い返せばわかることだった。君のまなざしはみんな知っていたんだね」

 と何も説明しないたいへん青空映画らしいモノローグで勝手に理解してしまった健太くん、実はアルバイトした金で大学に通う苦学生だ。これが並大抵の苦学生じゃなく、幼いころに両親が死亡、親代わりに育ててくれた姉も十歳のときに病死し、以後自活する。だが養子に行った先でも虐められ、バイト先でも孤児だからと虐められるばかりの人生。例によって戯画化された悪人しか出てこないがそれが大川ジュニアクオリティ。そんなある日、親友の朝飛(大川宏洋)が耳寄りな話を持ってくる。親戚がやっているというペンションたちばなで夏のあいだ住み込みのアルバイトがある。ここで働けば三ヶ月の家賃滞納も一気に片付くぞ! うまくすれば出会いもあるかも! というわけで勇躍長野県のペンションに来た二人、そこにはあにはからんや可愛子ちゃんのバイトが待っていた。その顔を見た健太は仰天。あのけんもほろろな対応でおなじみ天宮大社の巫女ではないか。巫女、天宮あかり(水月ゆうこ)におずおずと話しかける健太。

 

 

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