柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『キスできる餃子』 地方映画職人が電通や吉本興業を介して地方自治体とかと結びつく、その最新症例。そしてヒロイン役は皆殺し映画の顔、足立梨花 (柳下毅一郎)

公式サイトより

 

キスできる餃子

監督・脚本 秦建日子
撮影 須藤康夫
音楽 Jirafa
主題歌 チャラン・ポ・ランタン
出演 足立梨花、田村侑久、浅野和之、麻生祐未、佐野ひなこ、中島広稀、大石吾朗、佐藤美希

文化庁芸術振興基金補助

 

face 栃木県宇都宮市発! ついに地域映画に電通の魔手が伸びてきた! 監督・脚本は三重県桑名市の地域発映画『クハナ!』の秦建日子。監督によれば「『クハナ!』という映画を観てくださった電通の新聞局の方から、次回作は、餃子をキーワードに栃木県の宇都宮市でどうですか?とご提案いただいたのが最初です」とのことで、おそらくは下野新聞社あたりが「宇都宮の良さを訴える映画があれば出資したい」とか言い出して、電通がとりまとめたのではないかと思われる。田舎から田舎へ流れ歩く地方映画職人が電通とか吉本興業を介して地方自治体とかと結びつく……というのが今起こっていることなのである。これがその最新症例だ。ヒロイン役は皆殺し映画2017年の顔、足立梨花ということで、いろんな予言がぴたりと当たって当WEBマガ的には満点の布陣だが、それが日本映画界にとって良いことなのかどうなのか……

 

 

「人生には三つの真実があるーー一、イケメンは性格が悪い。二、餃子はデートに向かない。三、馬鹿は死ななきゃなおらない」
と言うのは藤田陽子(足立梨花)。「イケメンを見たらイボイノシシのように突進する」病的なほどのイケメン好きで、一九歳のときに「アーティストになりたいんだ~」とか言ってるイケメンに恋をして妊娠、家を飛び出して東京でパートとして働いていた。にもかかわらず旦那が年上の金持ちマダムと浮気するに及んでついに切れて三行半をつきつける。ところが離婚の話し合い(をそこらへんの喫茶店でやってるというのがアレなんだが)の席上で、旦那に挑発されてつい手を出してしまう。すると弁護士が「狙い通り! あなたならそういう反応してくれるだろうと思ってましたよ!」と暴力をふるったのだから慰謝料安くしろ……と逆ねじをくわせてくる(こんな弁護士ありなのか!?)陽子は「あんたイケメンだったけど、殴ったせいで鼻が折れたわね。百年の恋もさめたわ」と捨て台詞を言って慰謝料を叩きかえす……ところまではよかったのだが、家に帰ると旦那が滞納していた家賃を請求され、バイト先のスーパーからはリストラされ、一文無しになって宇都宮に帰ってこざるを得なくなる。で、デモシカで家業の餃子屋「餃子のふじた」を継ごうとするのだが、父は腰を悪くして店を廃業していた!

 

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