柳下毅一郎の皆殺し映画通信

『CUBE 一度入ったら、最後』 なぜ1996年公開のSFホラー映画をリメイクしようと思ったのか。結果、岡田将生がコンビニバイトの辛さを大演説するクライマックス。もうね……

公式サイトより

 

CUBE 一度入ったら、最後

監督 清水康彦
原案 ビンチェンゾ・ナタリ
脚本 徳尾浩司
映像デザイン 栗田豊通
コンセプトデザイン カイル・クーパー
クリエイティブアドバイザー ビンチェンゾ・ナタリ
撮影 栗田豊通
音楽 やまだ豊
主題歌 星野源
出演 菅田将暉、杏、岡田将生、柄本時生、田代輝、斎藤工、吉田鋼太郎

 

なんでこんなものを作ろうと思ったんだろうかね。オリジナルは1996年公開、ヴィンチェンツォ・ナタリ監督のカナダ発のSFホラー映画。低予算映画はアイデアで勝負の鉄則通り、どこまでも続く立方体(キューブ)の箱に閉じ込められた男女の絶望的な脱出行を描く。セットは基本的にはメカメカしい仕掛けの立方体ひとつだけ、ノースター。清々しいほどのチープさだが、閉じ込められた男女の明解なキャラ付けと奇想天外なびっくり罠(人間がさいの目切りにされたりする)のトリックで巧みに物語を引っぱり、スマッシュ・ヒットを飛ばした。密室空間での殺人ゲームもののはしりのひとつかもしれない。かくしてナタリはハリウッドに確固たる地位を築くにいたったのだった。

 

 

その『CUBE』をリメイクしようというのだ。なんと25年ぶりに。いったい誰がそんなことを思いついたのかわからないが、菅田将暉を筆頭に若手スターを揃えて、貧困やイジメといった現代社会の抱える問題も盛り込んで……ってどうやったらここまで何もかも間違いまくれるのか? 結果、岡田将生がコンビニバイトの辛さを大演説するクライマックスが登場する。もうね……

 

 

ゴトウ(菅田将暉)が目をさますと、そこは牢獄だった。一辺約四・五メートルの立方体の箱の中に、作業着のような服を着せられて寝ていたのだ。昨晩寝てから、ここに連れてこられるまでの記憶は何もない。部屋には口を聞かない子供(田代輝)とにこやかな青年(岡田将生)。そこへ隣の部屋から壁の中央にあるハッチを開けてカイ(杏)が入ってきて

「こんにちは。ところであなたたち何者ですか?」

 

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tags: さあゲームの始まりです やまだ豊 カイル・クーパー ビンチェンゾ・ナタリ 吉田鋼太郎 岡田将生 徳尾浩司 斎藤工 星野源 柄本時生 栗田豊通 清水康彦 田代輝 菅田将暉

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