和田昌士「グラウンド状態が悪くてボールをつなぐのが厳しい部分もあったけど、その中でももっとできなければいけない」。これはチーム全体に当てはまる課題 [天皇杯2回戦/FC大阪戦レビュー]
選手も、そしてアンジェ・ポステコグルー監督も、異口同音に「トーナメント戦は結果がすべて。次のステージへ進むことが大事」と繰り返した。負ければ大会から姿を消し、世間からはジャイアントキリングと厳しい声を浴びる。どんな内容だとしても、勝って終わったことに一番の価値を見出すのは理解できる。
スコア推移を端的に描写するならば、点の取り合いを制した、ということになるのだろう。開始3分という早い時間帯にファーストシュートで先制したが、その後は乱打戦模様に。最後は地力の差で順当な勝ち上がりを決めたとはいえ、前半20分に相手の退場によって数的優位になっていた。にもかかわらず3-3の状態から決勝ゴールが生まれたのは87分なのだから、勝ち方としては“辛勝”と言わざるをえない。
そうなった最大の要因が失点の多さにあるのは誰の目にも明らか。8分にボールロストから自陣右サイドを破られて失点すると、12分には課題のセットプレーから決められて、シュート2本で2点を献上した。抽象的な表現になってしまうが、あまりにもあっさり失点し過ぎている。粘り強さや耐久力はマリノスからすっかり消えてしまった。
問題なのは、それがどのコンペティションでも、どのカテゴリーの相手でも変わらず発生していること。インサイドハーフで先発した吉尾海夏が「ボールの奪われ方が悪い場面や、自分含めて前がかりになった時のカウンターで簡単に失点してしまった。それがJリーグでもルヴァンカップでも続いていて、今日も同じだった」と回顧したとおりである。
どんなシチュエーションでも似た類の失点が続いているのだから、問題は自分たちにあるのだろう。FC大阪を率いる和田治雄監督の「マリノスさんは独自のスタイルなので、対策は立てやすいことには立てやすい」という発言も的を射ているが、それもマリノスがフレキシブルに戦えていないことの裏返しと言える。決勝点の伊藤翔は「天皇杯はこういうものですませてはいけない試合」とほとんど笑顔を見せなかった。
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