「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

救世主となったのはトップ下として途中出場した大津祐樹だった [J16節 松本戦レビュー]

 

 

マルコス・ジュニオール不在時の攻撃をどのように構築していくか。勝ち点3獲得だけでなく、タイトル獲得のためには不可欠なテーマを解決すべく、ホームで松本山雅FCを迎え撃った。

最近4試合はマルコスをトップ下に置くダブルボランチで戦っていたが、この日は天野純と山田康太をインサイドハーフに配置し、喜田拓也が単独でアンカーの位置に構えた。端的に言えば、マルコスの穴をチームとして埋める狙いと采配である。

試合序盤、さらに言えば前半の前半はその形がハマった。まずは8分、天野がバイタルエリアでボールを受けてターンし、右サイドの仲川輝人に鋭いパスを通して決定機を演出した。さらに11分には見事なコンビネーションプレーで松本を追い込み、最後は天野からのパスを受けた山田のシュートが右ポストに弾かれた。

18分には天野がバー直撃の直接FKを放ち、得点は時間の問題かに思われた。しかし、その後のマリノスは徐々に尻すぼみしてしまう。サッカーは相手あってこそのスポーツで、松本がマリノスの攻撃のスピードやテンポに慣れたこと、そして失点せず守れているという自信も大きく影響したはず。

マリノスが自分たちを問題視するならば、パク・イルギュの「自分たちでルーズなパス回しをしてしまった。序盤が悪くなかっただけにこのまま続けていけば点を取れるだろうという雰囲気で停滞してしまった」という言葉を引用するのがおそらく正しい。ショートパスを基調とするオフェンスは、後に得点につながればボディブローだが、チャンスすら作れなくなると単調に見えてしまうから難しい。

この展開になると、前半に1点取れていればまったく問題ない試合が途端に難しくなる。むしろ守っている側に勝機が生まれてくるのがサッカーの流れである。もし松本に清水のドウグラスのような決定力あるストライカーがいたらと思うとゾッとする。チャンスはあったが、ピンチもあった。スコアレスでもこれだけ苦戦したのだから、先制を許せばさらに苦労したのは想像に難くない。

 

 

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