「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

「常に上を目指し続けて、オビ・パウエル・オビンナというプレーヤーを世界に示したい。世界に認められるGKになればおのずと結果はついてくるはず」 [オビ・パウエル・オビンナ インタビュー(後編)]

[オビ・パウエル・オビンナ選手インタビュー(後編)]

実施日:1221日(月)

インタビュー・文:藤井 雅彦

 

前回からつづく

 

「ラウンド16で負けているようではいけない」

 ACLでの激闘を振り返り、オビ・パウエル・オビンナはあえて語気を強めた。

 J2からJ1へ、そしてアジアの舞台へ。つい数ヵ月前まではJ2の栃木SCへ育成型期限付き移籍していた大卒ルーキーは、気がつけばF・マリノスの正守護神を争うプレーヤーに変貌した。

 来季こそはチームを勝利へ導ける選手になるために。優勝というタイトルをもたらせる選手になるために。

 その先には、常に『世界』の二文字を見据える。

 高い志と野望こそが、オビを突き動かす源だ。

 

 

――栃木SCへの育成型期限付き移籍が大きな転機となりました。オビ選手にとって栃木での時間にはどのような意味がありましたか? 

「栃木へ行って最初の1ヵ月は試合に出場できませんでした。辛いという気持ちよりも、もどかしさがありました。でもいま振り返ると、その1ヵ月にとても大きな意味がありました。J1のF・マリノスから移籍したからと言って絶対に試合に出られるわけではないことは移籍前からわかっていました。でも、いざピッチに立てなくて『このままではダメだ』と強く感じました」

 

――意識の変化ですね?

「不貞腐れることはなかったですが『なんでうまくいかないのか』と考える時間は長かったです。試合に出場できないときに何をすべきか、試されていたような気がします。僕は何かを得るために栃木に加入したわけで、もし仮に1試合も出場できなかったとしてもその目的は変わらない。試合にはもちろん出場したいですが、それだけがすべてではない。自分自身をどのように高めていくかを考えるための時間でした。すべては自分の責任なんです」

 

 

 

 

――意味のある時間だったのですね。

「プロデビューさせてもらった栃木SCには感謝してもしきれません。当時はホテル暮らしで、新型コロナウイルスの感染防止のためにプライベートを満喫することはできませんでしたけど、加入したときでは想像できないくらいの絆を築けました。F・マリノスに帰るときはうれしさと同時に寂しさや、もっと栃木SCでサッカーをしたいという気持ちもありました。でも自分はF・マリノスで結果を残すために栃木へ行ったわけなので、帰って自分の成長を示すことを決意しました」

 

 

 

――復帰してからはJ1デビューを果たし、ACLでも貴重な経験を積みました。成長を実感できたのでは?

「期限付き移籍前と後の自分は大きく変わったと思います。特に自信の部分が変わりました。試合に出場すれば絶対に通用すると思っていました。だからこそ今シーズンは良い結果をもたらせなくて悔しかった」

 

――GKは常に失点と隣り合わせだと思います。失点につながってしまったミスをどのように消化しているのですか?

「失点すれば、その前にどのような選択をしたとしても結果的にミスになります。J1での試合経験が少ないことを言い訳にはしたくない。ACLで敗退した後は先輩たちにフォローの声をかけてもらいましたが、周りがどんな言葉をかけてくれても自分が納得することはありません。それがあの時点での自分の実力だったと思います。判断と技術については映像で見直したときに、試合でのプレー選択が正しかったかどうかを客観的に擦り合わせる作業をしています」

 

©Y.F.M

 

 

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