「ザ・ヨコハマ・エクスプレス」藤井雅彦責任編集:ヨコハマ・フットボール・マガジン

選択肢は増えていない 〔宮崎キャンプ最終日/練習試合 甲府戦〕 +兵藤インタビュー「誰か一人がけがをして戦力が落ちたら優勝できない」

【練習試合:vs ヴァンフォーレ甲府(J1)戦】

形式:30分×4本

スコア:2-2(1-0、0-1、1-0、0-1)

得点者:22分ドゥトラ(マリノス)、34分ウーゴ(甲府)、89分練習生(マリノス)、104分堀米(甲府)

 

【1本目】 【2本目】
【3本目】  【4本目】
 

 

報道陣がにわかにざわめき立った。キャンプ最終日の甲府との練習試合、1本目が終わるとそこに背番号25の姿がない。1本目に引き続き主力組が出場していたにもかかわらず、中村俊輔だけがベンチへ下がった。

異変は1本目の途中に起きていた。11分、ゴール正面約25メートルの位置で直接FKのチャンスを得た。キッカーはもちろん中村。左足から放たれたシュートは壁の上を越えて枠を捉えたがGKの好守に阻まれた。すると中村が左でん部を気にしながら次のプレーへ移ろうとしていた。「FKを蹴ったときに伸ばしすぎた感じ。ピリッとね。試合をやっているときは忘れていたけど、1本目が終わってベンチに歩いて帰るときに違和感があった」。

キャンプ最終日にまさかのアクシデントとなったことで暗雲立ち込めたが、幸いにして大事には至らない模様だ。しっかりとした足取りで宿舎へ引き上げ、話しながら笑みも浮かべた。「力も入るし、大事をとっただけ。検査もいかない。軽傷だよ、軽傷。それよりドゥトラが決めたり、内容はまずまずだった」。自身のことよりもチームのことを語る余裕があるのならば大丈夫だろう。

練習試合の内容を語る前に、10日間に渡る宮崎キャンプで長期離脱者が一人も出なかったことを喜びたい。39歳のドゥトラ、36歳のマルキーニョス、そして34歳の中澤佑二と中村など、主力の高齢化が進んでいることは紛れもない事実だ。連日の二部練習で疲労とストレスが溜まっていただけに、アクシデントの発生が一番の心配事であった。まずは何事もなく10日間の全行程を無事に消化できたことが収穫だろう。

一方、ピッチ内で大きな収穫を得ることはできなかった。甲府戦の1本目と2本目は主力組で構成されていたが、その顔ぶれは7日のV・ファーレン長崎戦からほとんど変わっていない。体調不良から復帰した富澤清太郎と小椋祥平のコンビを試したことで互いの相性や距離感を計ることができた。「中盤でボールを回しているときにオグ(小椋)がいない場面があったりした」と富澤と振り返るように、昨シーズンほとんど出場できなかった小椋は周囲とのコンビネーションを確立していない。小椋自身も「マルキがボールをほしいタイミングが分からないことがあった」と認めている。7日の長崎戦、8日のヴィッセル神戸戦では中町公祐とコンビを組んだが、二人同時にボールを奪いに前へ出て中盤にスペースを与える場面もあった。小椋と周囲は双方の観点からすり合わせが必要なことは間違いない。

しかし、である。それ以上に問題なのは競争がまったくの無風状態にあるほかのポジションである。ディフェンスラインは右から小林祐三、栗原勇蔵、中澤佑二、そしてドゥトラ。この4人を脅かす存在がまったく見当たらない。実力・実績ともに秀でた選手たちではあるが、ここまで絶対的な状態ではアクシデントで離脱したときの戦力ダウンが

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