【優勝レビュー】タイトル獲得の先に浦和の見据える未来が見える【島崎英純】2016YBCルヴァンカップ決勝・ガンバ大阪戦レビュー

固さが目立った序盤のレッズ

51,248人もの大観衆で埋まった埼玉スタジアム2002。ガンバ大阪、浦和レッズのサポーターは共に壮麗なコレオグラフィでチームを迎え入れる。頭上には快晴の青空が広がっている。ヤマザキナビスコカップからYBCルヴァンカップへと名称を改めた今大会のタイトルを争うのに相応しい舞台は、すでに整っていた。

浦和レッズはミハイロ・ペトロヴィッチ監督がベストメンバーに定める陣容が先発のピッチに立った。GK西川周作、DF槙野智章、遠藤航、森脇良太、MF柏木陽介、阿部勇樹、関根貴大、宇賀神友弥、武藤雄樹、高木俊幸、FW興梠慎三。浦和はAFCアジア・チャンピオンズリーグへの出場でルヴァンカップのグループリーグ出場を免除され、ホーム&アウェー方式の準々決勝からの出場だった。その準々決勝・ヴィッセル神戸、準決勝・FC東京では4試合共に内容、結果で相手に完勝した。

ただ、これまでの道のりでは日本代表に招集されたGK西川周作、DF槙野智章(準々決勝・神戸戦は負傷で代表未招集となり、神戸戦も欠場)、MF柏木陽介の3人が一度も試合に出場していない。そして遠藤航も準々決勝・神戸戦の時は代表招集で不在だった。一方、準々決勝、準決勝ではGK大谷幸輝、DF那須大亮、MF青木拓矢らがチームを決勝へ引き上げる原動力となった。しかしペトロヴィッチ監督はあえて、これまでのチーム内の序列を踏襲した。浦和は今後もリーグ、天皇杯、クラブワールドカップの各タイトルを見据えねばならない。指揮官の決断は揺るぎなかった。

かたやG大阪も、Jリーグ2ndステージ第14節で浦和に完敗した陣容から3人の選手が代わっていた。CB西野貴治、SBオ・ジェソク、FW長沢駿に代えてCB金正也、SB米倉恒貴、MF今野泰幸。こちらも今回が真のベストメンバーのような陣容だ。しかも最前線にアデミウソンを擁し、その後方にフリーロール的に遠藤保仁が控える不気味な布陣である。

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