石井紘人のFootball Referee Jurnal

【石井紘人コラム】誤審が起こる→審判部が説明する→審判員が処分される→日本サッカーの未来は?

今季もJリーグで誤審が起きている。

FUJI XEROX SUPER CUP 2016サンフレッチェ広島×ガンバ大阪戦でのハンドリングとしてとったPKJ1 1st1節の柏レイソル×浦和レッズ戦では幻のゴール、続く2節の川崎フロンターレ×湘南ベルマーレ戦では、ゴールとなったキリノとGKとの競り合いが、ボールにプレーできる範囲外から体にチャレンジしていることで物議を醸している。

毎節誤審が起きていることを受け、多くのメディアが「審判部は誤審を認めるべき」という記事を掲載し、読者からの支持を得ている。いう私も、数年前はそのように主張していた。審判部が会見を開いて誤審を認めることで、選手やサポーターも「サッカーにミスはつきもの。ましてや人間だから。だからこそ、ミスは認めるべき。でも、認めてペナルティーを受けたなら許す。次は頼むよ」と次に進めると思っていた。

だが、本当にそうなるだろうか?女子サッカー日本代表、“なでしこジャパン”がリオ五輪出場を逃した後のゴシップ報道を思い出して欲しい。起きた物事の中身の検証、つまりマッチレポートや監督批評よりも、なでしこの不仲をここぞとばかりに報じている。ある意味では、ドラマの中身は批評せず、視聴率や演者の不仲を報じる芸能誌と同じ。それは、先日行われたJFA Media Conference on Refereeing 2016でも垣間見えた。会見では、FUJI XEROX SUPER CUP 2016の飯田淳平主審の判定について説明が行われた。その中ではミスが起きた原因だけではなく、良い判定についても説明され、質疑応答の枠も設けられていた。その質疑で飯田主審を糾弾するようなメディアは皆無だった。審判部が説明したことで理解が深まったのだなと思い、会見後に設けられた懇親会で現役審判員の方と話をしていると、上川徹審判委員長がメディアに囲まれていた。四人の現役審判員と話す貴重な場より、上川委員長に訊きたいことがあるのだろうか。どのような記事がアップされるのか楽しみにしていると、

【上川委員長は「ああいう判定を繰り返すのなら、われわれも飯田君を外すことを考えないといけない」】【PKは誤審】【J異例 誤審認めた】と“誤審”が強調された。

審判部が説明責任を果たそうとしても、【誤審だった】で片づけられてしまう。結局は、上川委員長に囲み取材を行い、「誤審」「飯田主審にもペナルティーがある」というコメントが引き出せれば良い。しかし、それに何の意味があるのだろうか。

審判部は、なぜ誤審が起きたのかを説明し、改善策も提示している。記者は、その説明を聞き、自身で意味づけし、サポーター(読者)に届けるのが仕事である。

飯田主審が毎試合、採点:1のジャッジをしているのならば別だが、「これぐらい難しいんです」と説明されたハンドリングの見極めについてはまったく触れず、「誤審だった」だけで片づけては審判部が会見を開く意味がない。結局は、誤審を認めさせたいだけだからだ。そこに未来図はない。

誤審を認め、ネガティブなイメージがつき、試合に臨む前から色眼鏡でみられる。もしくは、アンデルス・フリスク氏のように、優秀な主審が引退してしまう可能性もある。現状の報道は、無駄に審判とサポーターの齟齬を大きくしている。

かといって、クローズにすべきとは思わないし、審判部の対応がベターだとも思わない。ならば、審判部はどのような対応をすべきなのかを検証したオルタナティブな記事を書く必要がある。ということで私の意見を。

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